第33話

ヤマダタロウね?


昔の少年漫画で見た気がする。

如何にも偽名臭い名前だ。

それに彼の言葉の微妙なアクセントを俺はごく最近耳にしていた。


「知り合ったのは最近か。」


これは直感だが、おそらく彼は…。


「はいっ、昨日っす。」


「それでここに連れてきたか。」


『緋色』はこれでもガードが固い面子ばかりなんだが。よく1日で潜り込んだよな。大したもんだ。


「あのっ、ちゃんとボディーチェックはしてますし怪しいものは持って無いです。」


外川が慌てて説明した。


「ああ。別に警戒してるわけじゃねえよ。」


俺は外川に笑いかけた。

俺は山田の耳元に囁いた。


「知り合いに似てたんだ。悪かったな。 小田切おだぎり?」


俺の言葉に一瞬山田太郎の顔が固まった。

ビンゴ。


「ゆっくり遊んでいくと良い。聡太そうたサンによろしくな。」


外川に面倒みてやれよ。と笑いかけ俺は奥の部屋に入った。

面白くなってきた。ワクワクするぜ。

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