第32話
『緋色』か、まるでレディースみたいな名前だよな。
どうやらHEROに漢字を当てたらしいんだが、どうせなら素直に漢字で英雄にして欲しかった。
そんなことを考えながら店に入ると
「「「匠さん、お疲れ様です。」」」
中に居る奴等から声がかかる。
俺は軽く手を上げて店の奥に入るが
ふと一角で足を止めて声をかけた。
「見慣れない顔だな?新顔か。」
ざわりと周囲の空気が動く。ああ、こんなことをしたのは初めてだからか。
「悪いな。何となく気になった。
「っ?匠さん、俺の名前っ!!」
ガタンと椅子を倒し動揺してる男に眉をしかめた。
「
「いいえっ、
だよな。確か…
「何で俺の名前知ってるんすか。」
首をかしげたから
「先週、
「…へ?」
「忘れたのか。確か花道の好きな女に手ぇ出したとか、なんとか…」
俺が思い出しながら口にすれば外川はぶんぶんと首を縦に振り
「覚えてますっ。光栄です。」
何故か頬を赤くして嬉しそうに笑った。やや引き気味の俺は赤くなった外川に隠れる様に肩を震わせ笑いを堪える男に目を移す。
年は俺らと然程変わらない。
俺の視線に気付いた彼はやや目を伏せて自己紹介した。
「
ふうん。
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