第28話

「快里も知ってるだろうが、北陸の地には北を治める竜崎と中を治める松江。南を治める早瀬がいる。

他にもいるが、まあその3つが三大勢力ってヤツだ。」


快里が頷くのを確認して話を続けた。


「ざっくばらんに言って、早瀬には子種がねえ。あそこは将来はあずまって言う若頭が後を取るだろう。

血縁は無いが組長からの信頼が厚い構成員だ。ちなみにガキは男が1人。まだ2才だ。」


「成る程。この先女が生まれても春菜より年の差カップルになるのか。」


「ああ。血縁でないだけに将来はまだ不透明だしな。」


東はしっかり早瀬組を掌握してるから然程揉めたりはしないだろうが。


「じゃあ、北は。」


快里の声に俺は鼻を鳴らした。


「あっちこそ、問題外だ。若頭は40だが嫁を持たずに遊んでやがる。

多数の愛人に子供は5人。将来跡目争いで内紛が起こるのは見えてるよ。」


頼まれても関わりたくはない。

内紛から抗争になれば虎視眈々と竜崎のシマを狙う組に食い荒らされる。


「黙って高見の見物か。」


「…まさか。」


愛人の子の中に1人だけ見所のある奴がいる。安生が接触中だ。

先々後見人として竜崎に乗り込む日も来るかも知れねえな。

まあそれも、匠の結婚話くらいに先の話だ。

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