第26話
「また、【たら、れば】かい。」
快里は俺の悔やみをカラカラと笑い飛ばす。コイツは2ヶ月の投薬治療と輸血が原因でタチの悪い病に取り付かれた。今すぐどうこうと言う病じゃねえが確実に寿命を削られている。
それでも快里は俺を、松江を、一言も責めない。
「匠真さんが俺の立場でも、きっと同じ態度を取ると思うよ。」
穏やかな目で俺を見る。
「原因は近畿敬侠会内部の揉め事。鉄砲玉に使われたのがたまたま松江と少し関わりのある奴だっただけだ。」
何年経っても変わらず丁寧に話す。気を許して無いんじゃなくて癖みたいなもんらしい。俺の方が年下なんだが
そう言えば匠の屎ガキにまで丁寧に話してたな。
「俺は中々の腹黒です。匠真さんの話を受け、松江組の跡継ぎを娘の婿にと望んだんですから。」
いくら自分の未来が不安だとは言え春菜は未だ幼い。ずいぶん迷ったと告げられた。それでもこの話を受けたのは匠の器量を気に入ったことと
俺ら松江の七瀬に対する負い目から春菜は大切にされると踏んだんだと快里は言う。
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