第25話

近畿敬侠会内部でのトラブル。俺達ヤクザは『畳の上では決して死ねねえ』と教わり育つ。

時代の流れもあって最近は警察の目も厳しいからデカイ抗争も無いが、

聞いた時はそうか狙撃されたか。とそんな反応だった。冷たいと嘲笑うか?だが明日は我が身だ。

狙撃した犯人の名を聞くまで俺はそんな風に思ってた。

快里夫婦を撃ったのは

昔、松江組の構成員だった男の弟だった。有能な会社員だったが薬に手を出して身を持ち崩した。

松江のシマ内で薬を売りさばこうとしたのがばれて逃走。

兄貴はそれがきっかけで松江組を離れて弟を追った。

何度か捕まえかけたが逃げられ続け

ついには近畿に流れて快里を消したがった奴等に金で狙撃を受け負ったらしかった。薬を買う金欲しさの犯行。


『なんて事だ!』


犯人はその場で何者かに射殺されて黒幕は判らず仕舞い。

うちの元構成員は行方不明のまま。既に13年が経つ。

それが俺が快里に負い目を持つ所以だ。あの時奴を捕まえていたら。

悔やんでも悔やみ切れない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る