第19話

飯を食い終わった俺に安生は胡散臭い笑いを俺に向けた。


なんだよ。


「匠坊が決心なさったなら早速ですが春菜さまのお父様である七瀬組の組長にご挨拶を。」


「わかった。」


どのみち済まさなきゃなんねえ事だしな。七瀬の事は昨夜ある程度調べたが組長の器量はやっぱり会ってはかるべきだ。

俺は着替えて春菜の父親がいる客間に向かう。着替えると言っても堅苦しいスーツじゃない。

所謂学生服。

中学生の正装なら妥当な線だ。

しかもまだ衣替え前。半袖の白のカッターに黒いスラックス。

俺は母親に似た優しい顔立ち。

好奇心で髪を染めた事も有るがどうしても軽く見られる。それが嫌で結局黒に戻していた。

黒髪に制服姿。

自分でも照れるほどマトモな出で立ち。右頬の切り傷が少し目立つ。

間違っても腰パンなんて履けねえな。

鏡の前で苦笑してクローゼットを閉じる。

背筋を伸ばして客間に向かった。

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