第16話
「許嫁を持たせる理由なら昨夜、組長からお話を聞かされてる筈ですが。」
安生は落ち着き払って俺に言った。
組長であるジイさんは忙しい。孫であろうが俺から会うのは難しかった。
仕方なく俺は安生に愚痴を溢す。
組長の懐刀と呼ばれるコイツなら、ジイさんの考えも読んでる筈だと踏んだから。
「確かに話は聞かされたが…」
春菜を目の前にして納得出来る話じゃないだろ。
「春菜はまだガキだ。あれは愛しさから守る対象じゃねえ。弱いから庇護する対象だ。」
守るのは恋人じゃなくて親の役目だろうが。
仮にアイツを俺の形ばかりの許嫁にした所で何が変わる?
俺は幼稚園児に遠慮して女遊びをやめる気なんぞねえし喧嘩だって好きにやる。生きたいように生きるだけだ。
つまり何も変わらない。
俺の睨みを華麗にスルーした狸は涼しい顔で話し出す。
「宜しいのではありませんか。何も変わらないのなら許嫁をお持ちになっても。どのみち組長は春菜様を匠坊の許嫁にと決めてらっしゃいます。
決まった方がいればしつこい女に付きまとわれる事もありますまい。」
つまり安生は許嫁を上手に利用して使えと言うのか。
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