第13話

春菜の小さな手を握り安生の待つ和室に向かう。

駄目だ。歩幅が違いすぎる。


「春菜。高いところは平気か。」


「うん。屋根の上で星を見るの好き。」

へえ、そんなことしてんのか。


「じゃあ、肩に乗せてやる。」

言い様俺は春菜を肩に座らせ立ち上がる。これで何時ものペースで歩ける。


「ひゃあっ、高いっ!」

春菜はご機嫌で笑顔を振り撒く。


「たくみく…じゃない。匠は背が高いね。パパと同じくらいかな。」


春菜の言葉に、そう言えばと七瀬組の組長の話を聞いてみる。


「春菜はパパと来たのか。」


「うん。昨日のお昼に。昭人君…じゃない、橘にお祭りに連れて行ってもらったの。」


成る程、気比乃けひの神社の大祭か。

秋の大祭に合わせてT市の祭りも上乗せされて山車が出たり総踊りが練り歩いたり賑やかだ。

大祭は15日間と長いが市を上げての祭りは3日間。昨日はその3日目。

俺が喧嘩をしたのもその祭りに来てた他所の暴走族絡みだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る