第6話

今夜は本宅に泊まれと言われて久しぶりにデカイ日本家屋に泊まった。

俺は去年から松江組の所有してるマンションに独り暮らし中。

高校卒業までは好きにさせてもらえる約束だ。

どのみち組を継ぐ定めだし別に他にやりたい事もない。

極道は性に合ってるとも思う。進路選択に迷いがない分、他人より楽なのかも知れない。

風呂上がりにベッドにゴロリと寝転ぶとぼんやりと部屋を見渡す。

与えられた洋間は俺の部屋で。滅多に泊まらない部屋なのに塵ひとつ落ちてない。

家具はベッドと机位。元々は15畳位のデカイ部屋だったが、幼稚園児の頃無駄に広い空間が嫌で半分に仕切ってもらった。

独り寝が怖かったんだよな。ガキだったし仕方ねえ。

ちょっとヘタレだった自分に苦笑して

何気なく目に入った机の上のノートパソコン。


「ふうん。」

起きあがった俺はベッドを降りて机の上のノートパソコンを起動させた。

確か…


「近畿敬侠会、七瀬春菜だったか…。」

取り敢えず七瀬組で検索をかけてみる。


「ブロックされてるな。当然か。」


カタカタとパソコンキイを打ち込みセキュリティを外す操作をしてみる。

少しはハッキングの腕はある。

相手が北陸のお嬢なら、いろんな会合等で顔を合わせてる可能性も有るが

近畿敬侠会は全く未知の領域。


あそこは小田切おだぎり組が率いている筈。

俺の知識はそれくらいだ。

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