第64話
何だかんだで林に懐かれた俺は一緒に正門を潜った。
明日からはバイク通学。
成績優秀者なので特別にと許可された。
『成績は学年一番が条件ね。』
あの理事長、なかなか遣り手だ。これでもプライドは高い自覚があるからな。勉強頑張んねえと。
成績落としたら真嶋の奴等にモロバレじゃん!
今日はゆっくり歩いて学校から真嶋迄の道を散策するつもりだった。
なのに何故かマッチョな連れがいっしょなんだよな。北陸が実家で寮生活してる林が『俺の部屋に行きたい。』っうから2人連れで歩いてる。
1時間かかるって言うのに体力はある!と聞かない。
組の雰囲気を怖がって離れるなら早い方がいいかと連れてきたんだけど。
「エイっ!遅すぎっ!」
何故か五分ほど歩いたコンビニ前で亜依ちゃんに怒られた。
「…なんでいるの。朝、迎えは要らないって言ったじゃん。」
俺が呆れた顔をすると、
「だって涼子姉が気にしてるし心配だったんだもん。」
唇を尖らせる亜依ちゃんは可愛いが、何時まで経っても俺はガキ扱いだな。
「その立ち位置を外れたら若頭から抹殺されますよ。」
柔らかい微笑みを浮かべた金城さんに警告された。
亜依ちゃんはと見るとマジマジと俺の隣のマッチョを観察中。
「もしかしてエイのお友達かな。」
「いや。」
林は強いて言えば先輩かな。
ちっともそんな扱いしてねえけど。
「は、はじめまして。
俺が言い淀む間にトンデモの自己紹介をしやがった。
「まあそうなのね。亜依です。エイをよろしくね。」
にっこり笑う亜依ちゃんは林を瞬殺した。
「あちらも、自覚させといて下さいね。若頭につまらない殺人事件とか刃傷沙汰とか真っ平ですから。」
いやいや金城さん!笑いながら笑ってない目で冗談言わないでよ。
マジ怖いし!
「大丈夫なんじゃね。アイツ真嶋の若頭邸に来る気だし。秀一郎さんに会ったら思い知るでしょ。」
「さようですか。それなら心配ないですね。」
生きて帰れますかねえ。なんて軽い世間話風にいう金城さんに
「最近ますます服部さんに似てきた気がするんだけど。」亜依ちゃんは眉間にシワを寄せて言う。
服部さんか。秀一郎さんの側近だよな。お袋からはいい男だけど腹黒で頭がキレるって聞いてる。残念ながらインフルエンザで寝込んでるらしくまだ会えていない。
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