第63話

ばくばくと大口開けて飯を食う。

さすがに亜依ちゃんは料理上手。だし巻きは甘さが絶妙。毎日リクエストしよう!綺麗に平らげてごちそう様をした俺に


「なあ、さっきの話だけど、」

前の席の椅子に座り俺に話しかける3年生。


「今さらだけどあんた誰?何で俺に着いてくんの。」

さっき俺に鍵を渡した男はあれからずっと俺のそばにいた。


「俺は林。林隆正はやしたかまさ3年C組。俺アイツラとは縁を切ってアンタに着いてく事にした。」


「‥‥‥‥」

はあっ?


「着いてく事にしたって」


「よろしくな。」

にかっと笑う林はラグビーやっていた。スポーツ推薦で入学したものの2年の時試合で怪我をして肩と足を痛め引退。

普通に授業料を払えば退学にはならなかったが、くさくさしてアイツラと時々つるんでたらしい。


「道理で体格いいよな。他のスポーツやんないのか。」


「試してみたけどその気になんねえ。」興味が持てないという。


「ふうん。」

何故か人生相談されてた俺。


「大学も就職も将来計画がパアになってさ。」

ふんふんと話を聞いてると


「アンタに出会った。」


「へぇ。」

話の脈絡が無さ過ぎ。


「喧嘩で秒殺されたの初めてだし。」

普通こんなガタイがいい奴に喧嘩売らないよな。目は澄んでるがしっかり凶悪面だし。


「アンタに着いていくの面白そうだし。」


「あのなぁ、」


「ヤクザなんだろ。真嶋の若姐の弟なんだし。」


「‥‥‥‥」

ヤクザだと知って側にいる気か。言われたことは多少誤解はされてるが間違いとも言い切れない。

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