第60話

さっさと帰れと長谷川に言い聞かせ、俺は1人で空き教室に入った。


「ちわっす。」

ひょっこり覗いた空き教室。

振り向いた3人の内2人は、案の定昼間のカツアゲ野郎達だった。

ふうん。机と椅子が教室の隅に寄せられてるって事は暴れる気満々だな。


「懲りねえな。昼間のこと忘れたのかよ。」

ふん!と鼻で笑う俺に


「心配すんな援軍が来るから。」

俺が入ってきたドアから更に3人3年が入ってきた。


「コイツが転校生か。」


「ふうん。イケメンじゃん。コイツの姉ちゃんならさぞや美人だろうな。」


「ああ。ちょっと見ないくらいスゲェ女だ。」

ちょっと見ないくらいスゲェ女だ。って何だよ。訳わかんない例え方だな。


「それ言うなら見たことない美人とか、アイドルより可愛いとかだろ。」

頭の悪さが言葉に出てやがる。


「…生意気だな。」

「大人しく姉ちゃん呼び出せば帰してやったのに。」

ふん。絶対嘘だろ。


「床、舐めさせてやろうぜ。」

「スマホで撮って流そうぜ。」

「ついでに裸に剥くか?」


「「「いいな。」」」


「‥‥‥」

コイツら腐ってやがる。

殴っていいよな。一応宣言はしてあるし。俺は亜依ちゃんの弁当が入った鞄を部屋の隅に置き


「やろうか。」

ニヤリと笑うと誘いをかけた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る