第44話

ひとしきり笑った私はさっきから知りたかったことを聞いてみた。


「優理花さんと里江さんのお母さんってそんなに仲が悪かったの?」

隣の秀一郎は眉をしかめる。


「まあ。初めはお袋が優理香叔母さんに遠慮してたけど、お袋って変に気が強いから喧嘩になって優理香伯叔母さんがプッツン切れて交流断絶。」


「あ、ははははっ。」

らしいと言えばらしい。優理花さん、

男前だったもんな。


「あれは母さんが悪いのよ。真嶋に嫁いだ優理花さんを目の敵にしてたから。好きな人なら背負うもので選んじゃダメだよ。」

それは多分里江さんの実感なんだと思う。淳志さんに微笑みかける里江さんは幸せそうだ。

ただ、淳志さんの方はどうなんだろ。

里江さんに比べて声が聞こえないんだけど。


「淳志さんはどうなの。」


「え?」


「本気で里江さんと一緒になる気があるのかなって事を聞いてるの。」

私の声に里江さんと秀一郎の視線が淳志さんに向けられた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る