第40話

「亜依さま、残念ですが英斗さんがヒントを残して下さらなかったら、まだ私は亜依さまを見つけられてませんよ。」


「ヒント?」


「はい。ビジネスホテルの目立つ場所に停められたバイクと。ホテルの宿泊名簿です。」

バイクはわかるとして宿泊名簿ってなによ。


「エイ、あんた誰の名前書いたのよ。」

疲れてて手続きは任せきりだったしな。


「真嶋亜依。他1名。」

ニヤリと笑うエイはめちゃくちゃ憎たらしかった。


「どうせ帰る気だったんだろ。組員の昼飯の心配とかしてさ。だから帰りやすくしてあげたんじゃん。」


「‥‥‥」

それ、ここで暴露するか。


「秀一郎さん。」


「あ?」


「亜依ちゃん、昨夜寝てないから部屋に入るなりさっき起こすまで爆睡。

まだ寝足りないから今夜はちゃんと寝かせてあげなよね。」


「ああ。わかった。」

それも今、言うか?


「亜依。悪かったな。心配かけた。」


「…だね。でも私より皆を労って。

秀一郎の心配して寝不足な上に私を探し回ってくたくただろうし。」

私が言うことじゃないけど。


「私も謝らなきゃ。」

秀一郎にお灸を据えることに夢中で皆のこと考えてなかったし。


「亜依。」


「うん?」


「今回の騒ぎは工藤里江と男の共犯だ。アイツがお前に謝りたがってる。

会うか。」


工藤里江。凄いよね。いくら弱体化してると言え真嶋の若頭を拉致ったんだ。それもたったふたりで。


「会うよ。なんか凄い話が聞けそう。」

にこりと笑うと。


「お前、変なスイッチ入ってるな。」

眉を潜めた秀一郎にすごく失礼なセリフをはかれた。

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