第39話
エイは秀一郎に向き直ると
「湯島英斗です。今日から若頭邸でお世話になります。」
きっちりと体育会系の礼を返し顔を上げると
「先に言うけど俺はお袋達のスパイだから。高校卒業までは取り合えず。」
ニヤリと笑い。
「今回は亜依ちゃんが離婚しないって言うから動かなかったけど俺も亜依ちゃん同様、次は無いから。」
「無用の心配だ。
亜依がどう言おうが俺は亜依を手離さない。拐う気なら命がけでやれ。」
さらりと凄いことを口にした秀一郎は最後にニヤリと私に笑いかけた。
「それ洒落になんねえし。」
ぼそりと呟くエイに金城さんは
「洒落なんかじゃありませんよ。若姐さんが金髪イケメンに連れ去られたと聞いた若頭のお怒りはそれはもう大変なモノで田辺なんぞ具合が悪くなった位です。」
田辺さん相変わらずなんだね。
「あ~、なんかわかるかも。
初めて見た時こりゃレベルが違うと思ったもんなぁ。俺、結構修羅場潜ってんだけど。」
「亜依さま絡みだとこんな感じです。
これから英斗さんが亜依さまに付いてくださるなら心強い。」
「いや俺はスパイだってば。」
金城さんの台詞に焦るエイ。
「何でもよろしいのです。何しろ亜依さまは頭がよろしくて行動力があり過ぎます。逃げ出されたら今の真嶋の機動力ではフォローがききません。」
「‥‥‥」
なんなんだ。私は危険動物か。
「マジ苦労してるんだね。金城さん。」
やたら金城さんに同情的なエイに眉を潜めた。
「ちょっと!人をなんだと思ってんの。だいたい金城さんが私を見つけたんでしょ。」
人を手に負えないお転婆扱いしないでよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます