第36話

「秀一郎さん。もうすぐ部屋に来るよ。どうするの。」

エイの声にはっと我にかえる。


「幸い俺は初対面だし、仕返しに恋人とか浮気相手とか演じてやろうか。」

にかっと笑うエイ。


「浮気相手?エイが。」


「なんだよ。俺、結構モテるよ。」


「あ~、そんな感じだね。」

金髪で軽い感じだけどエイの顔立ちは父親に似て整ってる。笑うと幼くて可愛いしね。秀一郎とはまったく別タイプのイケメンだ。


「ありがと。でも秀一郎を私と同じ気持ちにしたくないから。

言いたいことを言って真嶋に帰る。」


「そか。じゃあ俺も一緒にこのままついてく。」


「あ!真嶋に住むんだっけ。」


「酷っ。忘れてたのかよ。」

泣き真似をしたエイに笑いかけて服を着るように促した。迎えが来てるなら待つまでもない。休憩は終わりにして家に帰ろう。


「きっちり、カタをつけないとね。」


「おお怖っ。」

私の低い声にエイが嬉しそうに笑い声を上げた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る