第35話
「見付かっちゃったって、なんで!」
「う~ん。真嶋秀一郎がしつこいから。」
「…真面目に聞いてんだけど。」
「…真面目に答えてるよ。俺、真嶋にも成瀬にも湯島にも連絡してねえし。」
「…エイ。」
「あの状況でここを調べあげたんだとしたら目撃者とか、監視カメラ映像とかから俺のバイクを目印に探し出したって感じかな。」
トン!とテーブルに空になったコーラのペットボトルを置き私を見てニヤリと笑う。
「…外にいるよ。FJR1300A。ブラウンと黒の渋いバイク。あれ旦那の愛車だろ。その横のXT1200Z。あれ金城成海の愛車だよね。」
「‥‥嘘っ!!」
びっくりした私は思わず窓に駆けよって外を見下ろした。
見下ろした駐車場には言われたバイクがちゃんと止まってる。
「…バカ秀一郎!」
若頭自ら嫁さん探しに来るとかバカじゃないの。
誰かに命狙われたらどうすんのさ。
「本気で逃げてないくせに。マジ、バカ夫婦だね。
亜依ちゃんが寝てる間に山崎さんから連絡が入った。『工藤里江は行方不明。真嶋秀一郎がラチった可能性が高い。』ってさ。」
「…拉致った?」
それって離婚して彼女とやり直す気でとか。
「亜依ちゃんバカ?騒動を解決して犯人を捕まえただけでしょ。
なんでそう自信ないかな。」
眉を下げた私にエイが毒を吐く。
「…悪かったわね。初恋で失恋したトラウマよ。」
「ああ。朗さんか。」
「なんで知ってんのっ!!」
「へ?湯島の親父もお袋も、じいちゃん、ばあちゃん、序でに英哉も知ってるけど。暁行じぃちゃんと喧嘩して家にきた深雪ばぁちゃんが、俺等を前に三大話っぽく亜依ちゃんの話したもん。『朗さんとの初恋に敗れて秀一郎さんと出会って婚約したけど暁行じぃちゃんと二人で取り合いされて婚約解消されて怒って桜華に逃げ込んだ』ってさ。」
私のプライバシーは何処に行ったんだ。
「…最悪。」
姉の家族に自分の初恋の相手がバレてるとか恥ずかし過ぎだろ。
私は頭を抱えた。
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