VS秀一郎 Side湯島英斗

第34話

『…ゃん?』


『…ちゃん?起きて。』


「…ん、秀一郎。朝?」

頭を優しく撫でられて温もりに寄り添う。温もりに…ん!? 違うしっ!!

ガン!

ドサドサッ!!


「…っ、てぇ…亜依ちゃん酷くね?」

ムクリと起き上がったベッド。乱れた髪を直しながらベッドの下で胡座をかいてるエイを睨み付けた。


「なんであんたが同じベッドで寝てんのよ。」


「いいじゃん。ちょっとした悪戯だし。」

ヘラりと笑うエイは半裸で下はスエット。シャワーを浴びたらしく髪が湿っている。


「もう!ちゃんと拭かないと風邪引くわよ。」


「…ちぇ。ガキ扱いかよ。」


「当たり前。3つの年の差は永遠だよ。」

ふん。と鼻で笑うものの久しぶりに見た甥っ子の裸はもうすっかり大人で腹筋なんて綺麗に割れてるし。ヤバイかもしれない。

なんてね。ちょっとだけ思った。


「今何時?」

私にベッドから蹴落とされ、ふて腐れて冷蔵庫からコーラを出して飲み始めたエイに聞く。


「…4時半。」

1時間半ほど寝たのか。

寝足りないのかまだスッキリしないな。


「…飲む?」


「ありがと。」

エイに差し出されたミネラルウォーターを飲む。


「あのさ。」


「ん?」

コクりと一口冷えた水を飲み込んだ私にエイが爆弾を落とした。


「見付かっちゃったっぽい。」

ゴホゴホゴホッ…。


「み、つかったぁ?」


「そ。真嶋秀一郎に。」

あっけらかんと言うエイに呆然とする。

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