第31話

「「「「片桐誠之介!?」」」」


「…っ、て?誰っすか?」

戸惑い勝ちに質問したのは若手3人の中の安川悟。

後の2人も似た反応だ。


「知らねえのか関東龍聖会を作ったお人だ!」

今川晃が胸を張る。


「「「ええっ!!」」」


「それだけじゃ有りません、北海道から沖縄まで彼の息のかかった極道が各々の会派を作り上げたんです。」

田辺の声に三人がそれぞれ反応した。


「え?もしかして近畿敬侠会も。」


「北陸気鋭会とか?」


「東北了鷹会も?」


「全部彼を慕う極道が作ったんですよ。」


「「「マジっすか!」」」


「ちなみに亡くなった優理花様は片桐誠之介のお気に入りのお孫様でした。」


「「「ええっ!」」」


「じゃ、その関係で真嶋のお披露目に。」

殿山が聞いた。


「まさか。彼が動けば全国から極道が集結してしまいかねません。滅多な事じゃ動きませんよ。実際、亡くなった優理花姐さんの時もそれで出席を諦めたと聞いてます。」

金城の声は少し低い声になる。


「ですからこの話はトップシークレット。よろしいですね。くれぐれも他言無用。」

金城の低い声に座にいた皆が青くなって頷いた。普段笑ってるやつが脅しにかかると怖いな。

さすがに服部の下に付くだけあって威圧力が半端ねえ。とは言え、なんで工藤にバレてんだ。ウチは箝口令を敷いてる。どこからバレた。


「でも、じゃあなんで片桐誠之介が真嶋に来るんですか。デマですか。」

信藤の問いには俺が答える。


「亜依だよ。

アイツが生徒会長やってた桜華学園は片桐誠之介がお袋の為に作った全寮制女子の中高一貫校。片桐のじいさんは亜依が気に入って酒盛りまでやった仲だ。」


「「「酒盛りっ?」」」

「さすがに若姐さん。」

「酒、つよいですもんねえ。」

「酔ってこう、にこっと笑うと目茶苦茶っ」

「「「可愛いんですよねぇ!」」」

ねえ!じゃねえ。亜依はまだ未成年だぞ。


「…殺す。」

俺の無感情な声に


「「「すいませんっ!!」」」

3人が頭を下げて金城がため息をついた。

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