第24話

俺は部屋に備え付けのガウンを羽織り冷蔵庫からミネラルウォーターを取りだして飲んだ。まだ半分頭が寝てやがる。ベッドに戻ると里江は既に服を着ていた。

俺が殴った男は顔を押さえてまだ踞ったままだ。

鍛え方が足りねえな。


「で、俺を捕らえてどうする気だった。」

俺の質問に里江は軽く笑い


「別になにも。ただのおふざけじゃない。」

肩を竦めてあっけらかんと笑う。


「あ゛? 俺と護衛を眠らせて。ただのおふざけだぁ!」

ベッドサイドには剥ぎ取られ様な俺の服が散乱していた。見るだけでも忌々しい。

低く響く俺の声に踞る男は肩をビクつかせたが、里江は気にも止めてない。


「護衛の彼は体調不良でしょ。隣の部屋のベッドに居るし貴方はただの寝不足。ふふっ。新婚で忙しかったんじゃないの。介抱した序でに悪戯心を出した私を責めるのかしら。」

眉を潜める俺に平然と言う。


「女ならともかく貴方は男じゃない。ベッドの中での写真が流れたって何の差し障りがあるのよ。」

くすくすと含み笑いをする里江に殺意が湧いた。

おふざけで済ませる訳ねえだろ!


「差し障り有りまくりだろうが。」

俺は低く唸ると里江の側に歩み寄る。

コイツの母親と俺のお袋は異母姉妹。

なさぬ仲という奴で、

生前は色々あったと聞いている。


「従姉妹だからってそれで済ませられると思うな。第一俺の運転手はどうした。」

東條と言う新米だが田辺がキチンと教育して俺に着けた奴だ。

俺と連絡がつかなくなれば大騒ぎして金城に連絡を入れる筈。

朝方まで俺がこんな場所にいるわけがない。

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