第18話

「そろそろ開宴したいので湯島の、ご挨拶を。」

ペコペコと頭を下げてお伺いを立てるのは工藤組の組長だ。工藤宗太郎くどうそうたろう。58才。一人娘の里江を溺愛している。

今夜は立食パーティー故かやたら若頭の出席率が高い。

今は龍聖会の筆頭に立つのは湯島だが秀一郎様が組長になる頃には必ず真嶋が筆頭に立つ。

成瀬は龍聖会に入ったのが遅かったせいで今代はまだ筆頭に立つのは難しいが、次代に迎える婿次第では筆頭に立つのも夢ではなかろう。

成瀬朗はそれほどの逸材だ。

工藤の組長が話しかけた事で三人の覇者に取り入ろうとワラワラと他の組の奴等が寄って来る。

今まで一番狙われていたのはうちの若頭だったが亜依さまと結婚されてターゲットは湯島若頭の二人の息子に移った。

龍聖会トップの湯島の長男は確か高校一年生。花嫁候補の数はハンパない。

ついこの間までうちの若頭を狙ってた組長達が湯島の周りに群れていた。


「あからさまだな。」

「お気の毒ですね。」

「愛人とか斡旋して来ねえか。」

「ありますけど無視。又は一喝します。これでも新婚っすから。」

「ご同様だな。嫁の腹がでかいと不自由だろうと言いやがる。ヤれりゃ何でも言い訳じゃねえっつうの。」

うちの若頭と成瀬の若頭は顔を寄せあい会話をしている。

うちの若頭が成瀬の若頭同様に若姐さんにぞっこんなのは早い時期に噂になりそうだ。

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