第14話
ドアを薄めに開けて万が一がないように気を使う。高熱がある男と武道のたしなみがある若姐さん。
それでも男と女が密室に2人はいただけない。
それに、俺は服部承希の兄、
優秀な男で嫁入りした姐さんの実家からずっと護衛として真嶋に入り、馴染んだ男。彼は姐さんの甥っ子だったが年の近い姐さんに惚れていた。そう過去系だ。
数年前の抗争で姐さんを庇って山の様に銃弾を受けて殉職した。
庇った筈の姐さんは彼の体を貫通した数十発の弾を浴びて即死。
若頭もその時の怪我で戦線を離脱。
彼女を中心に回っていた真嶋組は一気に失速。
龍聖会トップを湯島組に譲り渡した。
現組長の叔父である真嶋錬治が若頭代理として建て直しに乗り出さなきゃ潰れてたかも知れなかった。
歴史は繰り返す。
服部承希は若姐さんに惚れてる。分かりにくいが俺の直感だ。たぶんだが。
服部の兄は姐さんと血の繋がりがあったし『辛い恋だな。』とは思ってたが然程心配はしなかった。
だが承希と亜依様に血の繋がりは無い。
『ころされたいか。』
俺に投げた言葉に服部承希の私情が混じって見えたのは気の回し過ぎか。
「要らぬ心配をしてるのかな。」
そう思いながら気になって仕方ねえのは俺も若姐さんに惹かれてるからだろうか。
ぶるぶると首を振る。
確かに惹かれてはいるが俺はそれ以上に若頭に惚れてる。大丈夫。大事な御二人を丸ごと抱えて守ってみせる。
大きく息を吐くと仕事に戻った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます