第13話

普段感情をあまり表に出さないクールフェイスの服部だが。実は何気に気遣いが出来て女にはモテる。

その特技をいかして寝技で情報を集めていた等と噂される位なのだ。

若姐さんが危ない。


「若姐さん、お粥なら俺がっ。」

若姐さんからレンゲを奪い取る。


「え?でも伊達さん、服部さんの仕事しなきゃならなくて大変なんでしょ。」


「…はい。」

確かにそうだった。

何気にすかした顔で仕事をこなしてるがコイツの仕事量は半端なくて多岐に渡る。見舞いがてらにわからない所を確認に来た所だった。


「…気を使ってくれてありがと。みんな優しくて助かっちゃう。」

若姐さんはにこりと俺に笑いかけた。

…悩殺!


「し、失礼しますっ。」

服部の冷たい視線を浴びながら、なけなしの理性をかき集めて俺はあわてて部屋を出た。

廊下に出て思わず若姐さんに伸ばそうとした右手を見つめた。

ヤバいかも知れねえ。

『ころれたいのか。』

声には出さなかったが部屋から出る時に服部の口がそう動いた。


『殺されたいのか。』

服部にじゃない。真嶋を束ねる若頭。真嶋秀一郎にだ。容姿端麗・眉目秀麗。180を越える長身に一見細身ながらがっしりした肉体。頭脳明晰、侍の様に潔く鋭い気を持つ真嶋組員達の誇り。

冷静沈着な彼が唯一感情をむき出しにして護る女性が亜依様だ。

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