弱り目に祟り目 Side伊達圭吾

第12話

side 伊達奎吾だてけいご


2、3日前から、若頭側近の服部承希はっとりつぐきが体調を崩した。

原因はまさかのインフルエンザ。

4月初めのこの時期に。

真嶋ではインフルエンザで既に何人か戦闘不能状態だ。


「弛んでるぞ。」


「ああ、…わり、」

何時ものスカシタ澄まし顔は何処へやら。すっかり高熱と咳にヤられてる。


コンコン!


軽いノックと同時に部屋に入って来たのは若姐の亜依さま。まだ18才。

ちょっとお目にかかれない位の美少女だ。


「あ、伊達さんマスクしなきゃダメ。

インフルエンザもらっちゃうよ。」


「若姐さんこそマスクして下さいよ。」


「私は大丈夫。予防接種うけたもん。」

どや顔は可愛いが…。


「いつですか。」


「去年の11月。」

有効期限切れてるし。


「若姐さん。それもう無効です。」


「へ?そうなの。」

天然無自覚。


「大丈夫っ。昔から風邪ひかない子だったし。」

インフルエンザっす。タチ悪いんですよっ。


「服部さん、お粥だよ。」

服部を起こしてレンゲでお粥を食べさせようとする若姐さんに仰天した。

なんて羨ましい。いやいやなんでこんなに甘やかされてるんだ服部。

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