第10話

「山崎って成瀬組の軍師だよな。」

エイの質問に答える私。


「ああ。普段は結構虐げられてるけど、いざとなると滅茶苦茶頼りになる。私の事も命懸けで守ってくれた。あげくの入院。」

迷惑掛けっぱなし。

山崎は今、恋人の米沢恵利華よねざわえりかさんが付き添って中瀬総合病院なかせそうごうびょういんに入院していた。


『亜依お嬢。虐げられてるはないっす。』

あ。携帯繋がってたんだっけ。


「悪い。つい。」

苦笑した私は山崎に今までの流れを話した。


『で、その画像ってのはどんな感じのもんで。』


「ああ、ベッドインしてる。」


『べ、ベッドインすか。』

なに焦ってんだ。


「秀一郎が裸で寝てて。」


『あ?』


「素っ裸の里江さんが上から被さってる感じ。」


『ああ゛?!』


「ギリギリ繋がってる所は見えないけど、あそこまで写ってたら言い逃れは出来ないな。」

見て気分が悪くなって吐きそうになったし。


『…お嬢。』


「ムカついたから家出した。」


『当然すっ真嶋の若頭、見損なったっ!』


「マジで浮気してたらそのまま離婚だけどね。」


『はい?』


「あれは寝てる秀一郎をオモチャにしてる写真だし。胸くそ悪いけど許す事にした。」


『…は?寝てる?』


「ああ。あの顔は爆睡中。アノ時の顔じゃねえし。」

多分睡眠薬盛られてるな。だから気をつけろっつったのに秀一郎のバカ。

工藤里江の動きを探る約束をして山崎は電話を切った。もちろん成瀬の実家にも内緒の約束をさせた。

エイが隣にいるから湯島からバレる心配も有るんだけどね。

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