第8話

「で、その画像が送られて来たのが今朝?」


「そ。正確には朝5時。」


「よく起きてたな?それでスマホ見て逆上して家出か。」


「は!主婦をなめんな。何人分の食事作ってると思うのよ。いつも5時には起きてるし頭も冴えてる。」

画像をヒロちゃんズに見せてスマホを押し付け、キャップと財布を鞄につめてそのまま真嶋の本家を走り出た。冷静そのものじゃん。

エイにそう言いながら


「あ!」

思い出した。


「なんだよ?」


「お昼ご飯!」


「は?」


「今、何時?」


「1時11分。ゾロ目だな。」


「作り損ねた。オムライスだったのに~。」


「知るかよ。」


「賞味期限間近の卵を全部使う気だったのよ。」

私の喚き声にエイは呆れてため息をつく。


「そんなに家が心配なら帰れば」


「絶対ヤ!」


「頑固だな。」

ため息をつくなよっ。


「浮気した男の顔なんて見たくないっ。」


「ふうん。じゃ離婚する?」


「それはもっと嫌!」


「訳わかんね。」

なんでよ!


「あのね、秀一郎が浮気をしたなんて…」


ピリリリリ…


「あ、悪い!うちから電話だ。」

話の腰を折るのはエイのスマホで。当然か。私のスマホはヒロちゃんズに押し付けて来たし。


「はい。ああ。いやまだ着いてない。

は?…へえ。おもしれえじゃん。」

エイが私を見て意味ありげに笑う。

ヤな感じだな。

「あ~ハイハイ、了解。じゃ。」

エイは私の顔を見て


「亜依ちゃん指名手配されたよ。成瀬の姉妹ともちろん真嶋からもね。」


「げっ!」

それって秀一郎が成瀬に事情説明したってことなのか。


「秀一郎さん『亜依が家出しました。』って連絡したらしい。」


「‥‥‥‥」

確かに家出したけど。なにその私が悪者みたいな電話。

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