第7話


「聞くからに敵役じゃん。

工藤里江ねえ。調べてみようか。」

私の話を聞いたエイの言葉に首を振る。


「いや。もうあらかた調べた。

気になったから彼女と別れて直ぐに秀一朗に聞いたし、服部さんにも序でにヒロちゃんズにも聞いた。」

へえ素早いなと感心するエイ。


「ヒロちゃんズって誰れ?」

聞きなれない名前に興味を持ったみたい。


「秀一朗の幼馴染み3人組。みんな名前に『ヒロ』がつく。」


「…それでヒロちゃんズか成る程。亜依ちゃん相変わらずのネーミングセンスだね。

なんせ俺がAで秀哉がBだもんな。」

褒めてくれてどーも。


「そのヒロちゃんズ。幼馴染みなら秀一郎さんの縁戚関係も分かるかもだしな。」

私はエイに頷くと調べたことを話して聞かせた。


「工藤里江は28才独身。

工藤組の1人娘。只今絶賛入り婿募集中。」


「28才の**姉妹かぁ。見てみたいな。」


「…濃いわよ。」

インパクトは強烈。見とれちまってなに話したか覚えて無いくらいだ。


「彼女は真嶋錬治を狙ってしばらく真嶋に入り浸ってたみたい。相手にされずあえなく撃沈。彼は表に出たけど、まだ諦めてないのかも。」

真嶋錬治まじまれんじは秀一郎の叔父にあたる。真嶋の血筋は皆揃いも揃ってイケメンだ。

年はまだ20代前半で彼女よりは年下の筈。


「ふうん?しつこい感じなのか。」

エイに聞かれて考える。しつこいと言うか、なんとなく嫌な感じ。真嶋の男は粘着質な女に好かれるからなぁ。


「微妙。」

私の半端な返事にエイは声を上げて笑った。


「で、その女が旦那の朝帰りの相手なんだろ。」


「そ。」

ヨリによってあの珍獣お姉さんと。

「マジ、ムカつく!」

あれほどあの女には気を付けろと警告したのに。


「警告したのか。なんて。」


「なんか企んでる臭いがぷんぷんするから絶対接触するなって言った。」


「で、この結果か。」


「だからっ、まともに聞かないのよ秀一郎の奴。」

あの時は、嫉妬したと誤解されて自棄に嬉しそうに一晩中抱き潰されたんだからね。洒落になんなかったわよ。


「お~お!のろけちゃって。」

エイが私の顔を覗き込んで大袈裟に笑った。


のろけてないっ!

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