第5話

「あの秀一郎さんが浮気とか、何があったのさ。こんな所にこそこそ隠れて。」

エイに聞かれて顔をしかめた。

コイツに話したら涼子姉に筒抜けじゃん。3人の姉貴達にバレたら大騒ぎになるし。せっかく結婚したのに邪魔されたくはない。

だから実家を頼らずに、親友の春菜を頼る気だったし。ただ春菜は北陸に嫁いでるからなぁ。


「俺、亜依ちゃんの味方だよ。喋んなって言うなら貝になるから。」


「エイ…」

そう言えば軽い外見に似合わず昔から口は堅かったっけ。


「話せば頭の整理もつくしさ。」


「…そ、だね。」

思い出しながら話始めた私。

浮気画像なんか見せられて、やっぱりかなり動揺してたんだと思う。






あれは10日程前。

サプライズ結婚式を教会で挙げて、一緒に暮らし始めて5日。


私は郊外のショッピングモールに秀一郎と買い物に来ていた。その日は不機嫌だった記憶がある。

まったくブランドに拘りは無いのだが何故か高級ブランドが並ぶブースに連れて来られた。

確かに服が欲しかったんだけど、その原因は秀一郎だったし

なんか散財させてるみたいで落ち着かなかった。


「お首が隠れる服…でございますか。

それでしたらタートルネックですね。少しお待ちくださいね。」

季節はこれから夏に向かうのに何が嬉しくて襟の詰まった服を着なきゃいけないんだか。暑苦しい。


「チャイナドレスでも着てろってか。」

ぶつぶつ文句を言うと


「それはダメだ。スリットが深いだろ。」


「‥‥‥」

誰のせいで!

だいたい秀一郎が首にキスマークと噛み傷なんか付けるから悪いのに。

キッと秀一郎を睨むタイミングで


「あら、ロウ君。」

女に声をかけられた。

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