第11話 いただきます!
「いただきます!」
「いただきます!」
焼き立ての肉にかぶりついた瞬間、ジュワッと溢れ出る肉汁が口いっぱいに広がり、ほんのりとした甘みと濃厚な旨味が一体となって弾けた。表面はこんがりと香ばしく焼け、カリッとした食感が心地よい。そして、その中からは驚くほど柔らかな赤身が現れ、噛むたびに口の中で溶けていく。じっくりと火が通り、肉の中心は絶妙なピンク色を保ち、ジューシーな味わいが絶えず広がる。
リオも勢いよく肉にかぶりつき、目を輝かせながら尻尾を振る。
「これは…すごい!」
一口ごとに感じる歯ごたえはしっかりしているが、決して固すぎず、噛むたびに弾力のある食感が楽しめる。脂が程よく溶け込み、香ばしい風味とジューシーな肉汁が口の中で完璧に融合し、さらに食欲をそそる。脂身の部分は特にとろけるような柔らかさで、まるで高級なステーキを食べているかのような満足感だ。
火のそばでじっくりと焼けた肉は、焦げ目がついた部分が香ばしく、脂が落ちるたびに「ジュワッ」という音が焚き火に響くたび、二人の食欲はさらに増していく。
「もう、最高だなこれ!」
晴は笑いながら、また一口大きくかじりついた。
リオも満足げに肉を頬張りながら尻尾を振り続ける。
「魔物の肉って意外とうまいな…」
そう呟くと、リオは得意げに鼻を鳴らした。
「言っただろ?」
リオは口元を拭きながら、また大きくかじりついた。
焚き火の炎がパチパチと燃える音と、肉が焼ける香ばしい匂いが二人の周りに心地よく広がっていた。星空が広がる森の中、静かに肉を焼きながら、時折聞こえる森のささやきが彼らの疲れを癒していく。晴は焚き火の炎をじっと見つめながら、ふとリオに話しかけた。
「なあ、リオ。この世界って、なんだかんだ楽しいかもな」
晴は焚き火を見つめながら、そうに言った。
リオは、ちょっとだけ首をかしげながら肉を一口かじる。
「ん?そうか、それは何よりだ」
そう言い、もう一口かじる。
そのあと、満腹になるまで食べたり会話をして楽しみ、夜が更けていった。
翌朝
静かな森の中、太陽の光が木々の間から差し込み、焚き火の残り火が「プス…プス…」と音を立てていた。ゆっくりと目を覚まし、まだ少しぼんやりした頭で周りを見渡した。森の清々しい空気が鼻をくすぐり、前日の疲れが徐々に癒されていくのを感じる。
リオは、すでに起きており、いつものようにしっかりとした姿勢で座っていた。彼は晴が目覚めたことに気づく。
「おはよう、晴。よく寝られたか?」
「うん、最高の寝心地だったよ」
「そうか。それじゃあ片づけをしてさっそく帰ろうか」
昨夜の焚き火を片付け始め、ダンジョンへと向かった。
森の木々を抜け、朝日に照らされながら、次第にダンジョンの入り口が見えてきた。
「お、見えてきた」
「一日だけなのに久しぶりみたいな感覚だな」
「まあ、外での時間が濃かったからかもしれないな」
リオは尻尾を振った。
「そうだな」
二人はダンジョンに足を踏み入れた。
ダンジョン内を歩いていき、階層を下っていく。
最深階層に着き、まるで自室のような安心感が包み込む。
「やっぱりここは落ち着くな」
大きく胸を張り、深呼吸をする。
リオは柔らかく尻尾を揺らしながら、周囲を見渡した。
「さあ、これから何を始める?」
尻尾を揺らしながら聞いてくる。
「そりゃあ、あれだろ」
「そうか、あれだな」
考えていることは同じらしい。
俺は右手を突き出し、マナを集中させた。
地面に魔法陣が書かれていき、手に集中したマナが魔法陣に集中していく。そして、少しずつ光っていきその光の中から人影が出てきた。
召喚が終わったようで、魔法陣の光が徐々に薄れていき、その人影の正体が分かっていく。完全に光が消え、そこには長い漆黒の髪を背中までなびかせた人物が立っていた。彼女の鋭い紫色の瞳は、まるで闇の中でもすべてを見通すかのような冷静さと威厳を漂わせている。引き締まった体はしなやかさと強さを兼ね備え、褐色の肌がその強靭さを際立たせていた。身にまとった黒と紫の装束が彼女の存在感をさらに際立たせる。
「ダークエルフ…ふっ…」
リオはボソッとつぶやき、少し微笑みが混じった顔で見ていた。
俺はそんなことは知らず、召喚されたダークエルフに釘付けだった。
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