第9話 実戦
「は?」
突然のことで驚きを隠せない。
「いきなり魔物を倒すなんて、そんなことできるわけないだろ!」
「心配するな。ボクがしっかりサポートするから」
「…分かった」
「そういえばハルには攻撃魔法を教えてなかったな」
「あ、そうだったな…」
リオは晴にさまざまな魔法を教え込んだ。
そして、ある程度の魔法が使えるようになった。
「よし、ここらで魔物と戦ってみよう」
「魔物か…、本当にできるのか?」
晴は不安を感じながら問い返す。
「心配するな。ボクがついているから、君を守る」
リオは晴を励ますように微笑んだ。
「…分かった」
晴は覚悟を決めて、リオと共に魔物を探し始めた。
彼らが森の奥に進むと、草むらの中から魔物が姿を現した。黒い体毛に鋭い爪を持つその姿は、晴を一瞬で震え上がらせた。
「さあ、ハル。魔法を使ってみろ!」
「い、いきなり無理だろ!」
晴は逃げ出したい気持ちを抑えつつ、リオの言葉に従うしかなかった。
「大丈夫。まずは冷静に。攻撃魔法を使って、その魔物を倒してみろ。」
リオの声に少しずつ自信を取り戻し、晴は再度魔力を集中させた。
「よし…!」
両手に大きな火の玉を作り、晴は魔物に向かってぶつける。
火の玉が魔物に直撃し、爆発音と共に周囲が明るくなる。
「やった、当たった!」
晴は思わず叫び声を上げた。
しかし、魔物はまだ倒れていなかった。怒りに満ちた目で晴に迫ってくる。
「すぐにもう一発!ハル!」
リオの声が響く。
「わ、わかった!」
晴は再び魔力を集中し、次の魔法を発動させた。
「氷の魔法、氷結!」
晴は力を込めて唱えると、冷気が手のひらから放たれ、魔物に向かって直進していく。
氷の魔法が魔物に命中すると、魔物は凍りつき、動きを止めた。
「今だ!その隙にトドメを刺せ!」
リオの声が高らかに響く。
「え、えっと…」
晴は一瞬戸惑ったが、すぐに決心し、最後の一撃を放つことにした。
「火炎放射!」
彼は再び火の魔法を発動し、凍った魔物に向けて放つ。
火炎が凍った魔物を包み込み、激しい炎とともに魔物の体が燃え上がり、灰となり舞って行った。
「やった…!」
晴は思わず声を上げ、目の前に広がる光景を信じられない思いで見つめていた。
「よくやった!」
リオが嬉しそうにする。
「あ、ああ!」
晴もつられて嬉しくなる。
「なあ、ハル。魔物を倒したことだし、一度ステータス画面を確認しようか」
「そうだな!」
「強い魔物だったからかなり上がっていると思うぞ!」
「それだったらうれしいな!」
晴はうれしそうに右手を出し言い放った。
「ステータスオープン!」
晴の前に半透明な板が現れた。
名前:ナンジョウ ハル 種族:人間 職業:ダンジョンマスター
レベル:17
HP:470/470
マナ:530/530
体力: 410
攻撃力: 64
防御力: 53
知識: 86
敏捷性: 32
スキル:ダンジョン設計(レベル3)
魔物召喚(レベル5)
魔物育成(レベル2)
罠設置(レベル3)
火魔法(レベル5)
氷魔法(レベル4)
風魔法(レベル2)
光魔法(レベル2)
闇魔法(レベル2)
晴はステータス画面を見つめ、思わず目を見開いた。
「レベルが17に上がってる!すごい、HPもマナも増えてる!」
「おお、強化されたな。特にマナが530まで増えているのは大きい!」
リオも興奮気味に言った。
「それだけじゃない、攻撃力や防御力もかなり上がってる!これなら、もっと強い魔物とも戦えるかも!」
晴は嬉しさと興奮で心が躍る。
「よし!この調子でどんどんレベルを上げていこう」
晴は拳を握り締めた。
「ただし、油断は禁物だ。強くなったとはいえ、まだまだ危険な魔物はたくさんい
るからな」
リオは慎重な口調で警告する。
「もちろん分かってるさ。でも、俺にはリオがいるから大丈夫だろ?」
晴は笑いながらリオに視線を送った。
「ふふっ、そうだな」
リオも微笑んでいった。
かなりの時間が経った。
登り切っていた太陽が今は完全に沈み込み周りはすでに暗くなっていた。
「今日はこのくらいにしておくか」
「そうだな」
今日だけでどのくらいの魔物を倒したのか分からない。
「かなり倒したからレベルもかなり上がってんじゃないか?」
「そうだな。さっそくステータスを見てみるか」
そういい、晴は右手を前に突き出した。
「ステータスオープン!」
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