第2話



北方の強国ヴァルグリムが再び動き出したとの報告。


彼らは、セラフィス王国に眠る魔法の力を秘めたストーンを手に入れようと、過去に何度も侵攻を試みている。セレスタは、何度もヴァルグリムから王国を守ってきたその経験を胸に、仲間たちと共にまた立ち向かう覚悟を決める。心のどこかで、これが彼女たちにとって最も過酷な試練となることを予感していた。


 部屋の中央に設けられた大きな地図には、セラフィス王国とその周辺の地形、そしてヴァルグリムの領土が描かれていた。




「彼らは、私たちの国境に近づいてきている。すでに数回、偵察部隊が侵入したとの報告もある。」王の言葉に、セレスタは改めて緊張感を抱いた。




「私が前線に出ます。」彼女は毅然として宣言した。

  



「しかし...」兄であるアルフレッドが心配そうにセレスタを見つめる。




「私がこの国を守るために戦うことは決して無謀なことではないはず。」アルフレッドを真っ直ぐと見つめるセレスタの言葉には強い決意が込められていた。


部屋の雰囲気が引き締まり、皆の視線がセレスタに集まる。



「私が指揮を取ります。」セレスタの声は、堂々としていた。






 しかしその翌日。セレスタは再び陛下に呼ばれた。城の広間に足を踏み入れると、そこには厳しい表情を浮かべたセリオス王が待っていた。





「アルバリアとの婚姻が決まった。」


王の言葉が静寂の中で響く。




 セレスタは、言葉を失った。


「お父様、それは...」


兄であるアルフレッドは次期国王だ。弟のテオドールはまだ小さい。つまり、その婚姻は私が結ぶことになる。



「アルバリアとの同盟は、我が国にとっての最善の策だ。北方の強国ヴァルグリムの脅威が迫る今、婚姻によって結ばれることで、我々の防衛が強化される。」



アルバリアとの関係は良くも悪くもない。隣国でありながら交流はなく、互いに争う意思もなければ、両国とも他国に頼る必要がないほど資源豊かな国だ。




「...セレスタ。」



王の声には、どこか優しさを感じた。


物心ついた時から、父とはこの国の王として接してきたせいか、その親としての感情を滲ませた声に涙腺が緩みそうになる。



小さく息を吐き、セレスタは静かに頷いた。




「分かりました。すぐにでもアルバリアとの婚姻を結んでください。」




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