星々の導きで異世界へ!星座オタクが紡ぐ異世界救済の壮大な冒険譚
ゆずか
〜プロローグ〜
(今日の天気は晴天。今日は星空がきれいに見えるかも)
大学の講義中、先生に見えないようにスマホを机の下に隠しながら、今日の天気予報を調べていた。星空のことを考えていると自然と笑みが溢れてしまう。そのとき、隣の席の友人の雄二から肩を叩かれた。
「おいソラ、先生に怒られるぞ……」
彼の声なんて入ってこなかった。そのとき、先生の咳払いが聞こえてきて、ようやく先生の存在に気付いて顔を上げた。
「飯島、お前は授業中に何をしている?」
「天気予報を見ていました……」
先生はため息を吐いて俺に言った。
「またかお前は。スマホを渡しなさい。授業が終わるまで預かっておく。あとで取りに来なさい」
「はい……」
スマホを取り上げられてしまった。まあ、この時間さえ終わってしまえば返してもらえるからいいや。俺は心を入れ替えて授業に集中した。
授業終わり、俺は先生のところへ行った。先生は俺を見るなり、呆れた表情を浮かべている。
「お前な。授業中は天気予報なんて見てねえで、しっかり勉強しろ。分かったか?」
「はーい、分かりました」
俺が間の抜けた返事をしていると、先生はホワイトボードの文字を消して教室から出て行った。席に戻って荷物を整理していると、雄二が声を掛けてきた。
「次お互いに空きだろ?一緒に昼メシ食わねえか?」
「行く行く。早く行かねえと席なくなっちまう」
2人でカフェテリアへと向かった。案の定、混んでて席を確保するのが大変だった。なんとか座れたので、交代でご飯を買いに行くことになった。今日は体力付けたいから、豚カツ定食にしよう。順番を待っている間、
「はい、豚カツ定食お待ち」
俺の目の前には大盛りご飯の豚カツ定食が出された。
「ありがとうございます」
受け取って席へ戻ると、雄二がちょっとつまんでいた。
「悪い悪い。待ちきれなくてさ」
「食ってても良かったのに。待っててくれてありがとう」
雄二は食べながら俺に訊ねてきた。
「そういえば、何でさっき授業中に天気予報を調べていたんだ?」
「えっ?!お前ニュース見てないの?今日は星好きにとって、超重要な日だよ!!」
「超重要な日?なんだよそれ」
「知らないようだから教えてやるよ。今日はな、100年に一度の乙女座流星群が見られるかもしれない日なんだ」
「乙女座流星群って、確か幻と言われてるやつだろ?本当に現れるのか?」
「だからそれを確かめに行くんだって。ちなみに乙女座流星群は空から無数の星が地上に降り注ぎ、観る者に幸福をもたらす神秘的な光景が見られるんだ。逃したら次は来世になってしまうから、今日は絶対に外せないんだ」
俺が目を輝かせながら言うと、興味なさそうな様子。午後は3限だけだから、早く帰らなきゃな。
※※
授業を終えて速攻で帰宅し、テントやら望遠鏡やら食料やら、必要なものを車に積んで山へと向かった。目指した場所はここから2時間の山だ。田舎なので夜空がきれいに見える。山のふもとに車を止めて、荷物を持って山道を歩く。頂上に着いてテントを張って、スマホで流星群の時間を調べると、24時に現れるとのこと。よし、それまでゆっくり寝るか。
アラームが鳴って目が覚めた。時間を見ると23時50分。ちょうどいい時間だ。俺はテントから出て夜空を見上げる。雲一つない澄み切った夜空。星たちがきらめき、深い静寂が広がっている。望遠鏡を覗いて夜空を眺める。春だから獅子座のルグルスがきれいに見えるな。他にもおとめ座のスピカが夜空を飾っていた。いろいろな星座を堪能しながら流星群を待った。本当にくるのだろうか……。少し不安になっていたその瞬間、夜空の星が一斉に消えてしまった。
「な、何だ……?こんな現象は初めてだぞ!?」
目を凝らして見てみると、暗闇の中に一筋の光が走った。次の瞬間、いくつもの光の筋が空を駆け抜け、流星群が地上に向かって降り注いだ。無数の星々がまるで糸を引くように滑り落ち、天空に銀の軌跡を残していく。目を奪われる美しさに、俺は思わず息をのんだ。
「本当に……現れた」
その時だった。突然流星群がまるで雷鳴のように明るい光を放っていた。眩しすぎて目を閉じようとしたが、体が動かない。全身が何かに引っ張られる感覚が襲いかかり、足元がふわりと浮いたような不安定さを感じる。心臓がドクドクと高鳴り、周囲の音がすべて消えた。
「な、何だ……?一体何が起こっているんだ?!」
ワケが分からないまま俺は強い光に飲み込まれていった。
「うわあああ……っ!!」
その後のことは覚えていない。そこで俺の意識は途切れてしまった……。
次の更新予定
2024年10月4日 19:00 毎日 19:00
星々の導きで異世界へ!星座オタクが紡ぐ異世界救済の壮大な冒険譚 ゆずか @mimie1118
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