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白無垢を纏う女と紋付袴を着ている男。


神社で見掛ける度に僕はあの日を思い出す。


伴に歩もう、そう彼女の手をとったというのに……。


気づけば一人、彼女は赤く染まっていた。


取り残された僕は死に切れず、未だこの神社に足を運んでいる。


時折、誰かの視線を感じる事がある。


背筋が凍る程の冷たい視線。


独りにしてしまった彼女の視線だろうか……?


鳥居を潜り、神社を去る時。


その声は確かに聞こえた。


「早ク諦メロ……人間」


誰もいない神社から聞こえたそれは、若い男の声だった。

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