6

その神社には、神様がいた。


地元を守護する氏神様だ。


元は怨霊だったと宮司は云う。


白い着物の若き青年。


彼はいつも地元の人達を見守っていた。


神社へ訪れる者には幸を授け、祀る人には福を授ける。


けれどもある時、花嫁が命を奪われた。


白無垢が赤く染まるまで、百ある石段から転げ落ちたという。


遺族や地元の人々は氏神様の祟りを畏れ、花嫁を弔わなかった。


無縁仏となった花嫁は、あの世に行けず……。


嘆き悲しむ彼女を氏神様は嫁に貰った。


今では二人、仲睦まじく。


いつしか此処は、夫婦【めおと】神社と呼ばれる様になったという。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る