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月日は流れ、再び出会ったのは彼女が16の頃。


あの頃よりも大人びた彼女は、美しい女になっていた。


赤い簪を髪に刺し、手を合わせ御参りをしている。


彼女は、私を見つめて一言告げた。


「小さい頃からずっと見守り下さり有難う御座います。この度、私は嫁ぐことになりました」


頭を下げ、喜々とし話す彼女に私は思わず手を伸ばす。


触れた髪に彼女は怪訝な顔をした。


しかし、気にも留めずに彼女は此処を去った。


彼女にはもう、私が視えていないのだろう……。


虚しく募る恋情に、腹の底から沸き立つ欲望。


彼女の祝参りに私は願う。



「願わくば、彼女の祝言に☓☓あらんことを」

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