第22話 二日酔い
「うぅ……頭痛い」
ステラさんは二日酔いの呻き声をあげていた。
俺とエリカさんがシロの散歩を終えて帰宅すると、頭を抱えて辛そうにしているステラさんがいた。明らかに二日酔いのご様子。
ちなみにユイちゃんはまだ寝ていた。
「いつもよりはマシだけど、やっぱり全然慣れるもんじゃないねぇ」
「ステラさんもお水飲みますか?」
「……頂いてもいいかい?」
ステラさん、エリカさん、そして俺の分の水をグラスに入れて持っていく。
「はぁ~。生き返る。ありがとうユキトくん。なんだかだいぶ楽になった気がするよ」
「それはなにより」
「うん。きっとユキトくんは将来良い主夫になるね」
お母さんときて、次は主夫か。
「まだ結婚をするつもりはないですけど?」
とはいえ、いつかは結婚しないといけない。
「ところで、ステラさん『も』ね……。いつの間にかに二人がだいぶ良い関係になっちゃって」
ステラさんはニヤニヤとした表情をしている。
「いや、いつも通りですよ?」
俺がそう答えるとステラさんは「へぇ~」と言う。
信じる信じない以前に冷やかしマックスの表情をしている。
「あ、ちなみに私は二番目の女で全然構わないよ?? おっぱい揉むかい??」
ステラさんは自分の胸を両手に乗せる。
「揉まないですよ。とりあえず、今から朝ご飯作るので待っていて下さい」
俺がそう言うとステラさんは残念そうな顔をした。
水飲んでからだいぶ元気になられてしまった。
「ちなみに、ご飯できるまでお風呂に入るのは?」
「構いませんよ。出る頃にはできていると思いますし」
「じゃあお言葉に甘えて……エリカも行くよ」
「え? 拒否権はないんですか?」
「まぁまぁ」
ステラさんはそう言いながら、エリカさんの耳元で囁く。
「散歩に行って少し汗かいていないかい? そんな状態でユキトくんの隣にいても大丈夫なのかい?」
「や、やっぱり私もお風呂に行ってきます……」
エリカさんは顔を赤らめて、蚊の鳴くような声で呟いた。
「は、はぁ……いってらっしゃい」
でも二人の声、普通に聞こえてるんだよな……別に気にしないけど、やっぱり女性は気にするものだろうか。
昨日も長く入っていたみたいだし……出るまでに時間はかかるかもしれない。
それに朝風呂って、ゆっくり長く入りたいもんな。
俺も朝ご飯食べたら一度風呂に入ろうかな……。別に一日に一回しか入っちゃいけないってこともないからな。
ユイちゃんは変わらずぐっすりと寝ている。
朝ごはんができてから起こしてあげよう。
「じゃあ、さっさと朝ご飯でも作りますか」
とはいっても、朝はあっさりとしたものがいいよな。
準備とかしてないし。簡単なやつがいいな。
そうしたら、目玉焼きとパックのお米でいいか。
お箸には慣れてないだろうから、ちょっと底の深いどんぶりにご飯を盛って、その上に目玉焼きを乗っけよう。
でもそれだけだと何か物足りない気がする。
「そういえば、インスタントの味噌汁があったよな」
前に台所を調べていた時に見つけたのだ。
たしかに上の収納棚の……あった。
食べ切り用のお味噌汁。中身は白味噌と赤味噌のしじみの味噌汁。
うん。これにしよう。二日酔いにもピッタリだ。
そうと決まればヤカンに水を入れておく。
エリカさんとステラさんがお風呂から出たタイミングで火を点ければ、食べ始める頃には丁度良くお湯が沸けるだろう。
みんなにとっては初めての日本食。きっと驚いてくれるに違いない。
俺はワクワクしながら朝ご飯を作る。
俺は料理を作るのがハマりつつあった。
みんなの笑顔が見れるから。
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