第13話

なんとなく亜依ちゃんの質問を誤魔化す秀一郎さんは俺に声をかける。


「エイも、ご苦労様だったな。」


「まったく。亜依ちゃんを守ってんのは俺だろ。で?錬治さんとの話はついたのかよ。」


なんとなくぞんざいな台詞で秘密を暴露した。


「え、英斗さんっ!!」


普段冷静な金城さんが慌ててる。

秀一郎さん本人は…固まってるな。

案の定、亜依ちゃんはポカンと口を開けていた。


「なに?亜依ちゃん知らねえの。『龍牙』の後ろにいたの錬治さんだよ。」


俺の声に秀一郎さんは瞳を揺らし、亜依ちゃんは納得の表情になった。

隠し事はダメじゃん。夫婦なんだからさ。


途端に呆れた口調で秀一郎さんを宥める亜依ちゃん。『秀一郎以外は眼中にない。』みたいな。それでも。かつて錬治さんに亜依ちゃんが拐われた時みたいに嫌な予感がするという秀一郎さん。

くいくい!

シャツを引っ張る感触に下を見れば秀一郎さんの腕から降りた仔猫がいて


「なんだよ。」


しゃがみこむと、


「ロウ兄と亜依ちゃん…」


ああ。何を話してるのか聞きたいのか


「錬治さんが亜依ちゃんに気があるから秀一郎さんは心配なんだよ。」


ざっくり話すと


「錬ちゃんかぁイケメンさんだしね。

亜依ちゃんモテモテだね。」


納得してる仔猫。


「だから俺が守ってんだろ。」


胸を張ると仔猫はふん!と鼻を鳴らす。


「Aは駄目!亜依ちゃんにベタベタし過ぎ。」


それは仔猫の方だろ!

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