第9話

「へえ。仔猫のボディーガードか。

強そうじゃん。」


一見なよっちいけど林なんか足元にも及ばないくらい強そうだ。

同い年くらいだと踏んで俺はタメ口で話すと適当に自己紹介した。


「はじめまして。湯島英斗だ。亜依ちゃんのボディーガードだよ。」


ニヤリと笑い返すと


「桐生蒼生です。陵英りょうえい高校三年生です。」


よろしくと微笑んだ。

その笑顔がまたなんとも嘘臭い。


「先輩じゃん。俺は1年A組。」


今さら敬語に戻す気もなくタメ口で喋り続ける。


「知ってます。3年の不良を蹴散らした猛者として今や噂の人ですから。」


サラリと言われて苦笑いした。

あいつらゲロ弱だったんだけど。

俺の舎弟を名乗る林も実はその時の不良の一人だ。殴って何故か懐かれたんだけどな。


「へえ。林を蹴散らすと猛者になるらしいぞ。」


俺がからかうと林は青くなって顔の前でブンブンと手を振った。

うん?

気が付けば仔猫にじっと睨み付けられてた。

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