ぶつかって来た仔猫
第7話
「はなせ!亜依ちゃん!」
捕まえた小さな塊が俺の腕の中できゃんきゃん喚く。大きなアーモンド型の瞳に長い睫毛。ふわふわした柔らかそうな髪はさっき見た記憶がある。
気が強そうな顔は
「へえ。ずいぶん綺麗な…」
きゃんきゃん鳴く仔犬と言うより背中の毛を逆立てる…
「仔猫だな。」
にやにやと笑いながら美少女とすら言えるガキをからかう。正体は直ぐわかった。
亜依ちゃんの旦那の真嶋秀一郎の年の離れた小さな妹。さっき見た超美人の真嶋優理花さんによく似ていた。
まだ幼稚園児のガキだがな。
俺に両脇を抱えられて足をぶらんぶらんさせてるガキはじいっと俺の顔をいや頭を見てる?と、不意に、
「金髪!綺麗!!」
いきなり俺の前髪をつかんで力一杯引っ張りやがった。痛ぇだろうが!
「って、痛ててっ!前髪をつかんで引っ張るな!!」
俺の声をスルーして笑ってやがる。
「なんつーやんちゃな仔猫だ!」
しかもガキの癖に力が強い。仕方ねえな。
特別だぞ。俺はそっと仔猫を畳に下ろすと
「離せ仔猫。」
にっこり笑って優しく言った。必殺女落とし。
「‥‥‥‥」
固まってやがる。ガキ過ぎて効かねえか。
「…へんな顔。」
さんざん溜めて吐き出した仔猫の言葉に亜依ちゃんが吹き出した。
「はぁ~っ。ガキにはわからんか、この色気。」
無駄な労力使ったな。
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