第27話 想い出の夏

 今年も、暑い夏がやってきた。

 「おばさん、こんにちは」

 美緒、聡、智美が朝陽の家を訪ねた。


 「三人とも、いらっしゃい」

 と朝陽の母親が出迎えた。

 三人は、朝陽の遺影に手を合わせ、

線香をあげる。


 「早いものね……あの子が亡くなって、

もう七年……」

 朝陽の遺影を見ながら母親が呟いた。


 聡と智美と美緒は、あの夏の日以来

三人の前に姿を現すことのない朝陽のこと

を口にすることはなかった。


 「毎年、来てくれてありがとう」

 と朝陽の母親が三人にお礼を言うと頭を

下げた。

 三人も、会釈をすると朝陽の家を後にした。


 喫茶店でお茶を飲む聡、智美、美緒の三人は

いつものように笑いながら話をする。


 夕方近くになり、三人は喫茶店を出ると

 「じゃあ、また連絡する」と智美が美緒に言った。

 「うん、またね。智美、聡君も」

 美緒は二人に声をかけた。


 二人と別れ、一人家路につく美緒。


 神社の前を通りかえた時、前方から白いスーツを

着た男性とすれ違う……。


 美緒は、何事もなかったように自宅へ帰宅した。

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