第7話 友人との会食は

 「美緒……こっち こっち」

 親友の智美が手を振った。

 帰省した美緒と智美、

そして智美の彼の聡の三人は、

居酒屋で待ち合わせをしていたのだ。


 「ごめん、遅くなっちゃって……」

 「バイト忙しそうだね」と智美が言った。


 「大丈夫だよ……

それより、二人とも久しぶり」

 笑顔で二人に話しかける美緒。


 「美緒ちゃん久しぶり」と聡が言った。

 「聡君も元気そうで」

 「美緒も元気そうだね」と智美が続ける。


 「乾杯~!」

 三人はノンアルコール飲料の

ジョッキを翳すと一気に飲み干した。


 「いや~旨いな……」と聡が言った。

 「料理も美味しそう……美緒食べよう」

と智美が言う。


 久しぶりの友達との再会に心が和む美緒、

笑顔で振る舞う美緒。


 ふとした時に美緒は思い出す。

 『朝陽の笑顔』『朝陽の笑い声』。


 「美緒? 美緒?」と彼女を呼ぶ智美。

 「あ……ごめん、何?」と聞き返す。


 「『朝陽君の初盆参り』

少し早いけど、来週の日曜日にどうかな?

 おじさんとおばさんにも

連絡しておこうかと思って……」

  智美が言った。


 「う……ん、そうだね……

来週の日曜日だね……わかった。

 わたし、トイレに行って来る……」

 と席を立つ美緒。


 美緒の姿を見つめる智美と聡……

 「美緒ちゃん、本当にお参り大丈夫なのか?」

 聡が智美に尋ねた。


 「う……ん、でも 夏は

朝陽君が大好きな季節で、

来年も美緒と一緒に過ごしたい

って言ってたんだよね……」

 智美が呟いた。


 「そうだよな……朝陽……あいつ、楽しみにしてた。

 だから、待ってるんじゃないかな…… 

美緒ちゃんがお参りに来てくれるの」


 「そうだね……美緒にもちゃんと

朝陽君のことと向き合って

前を向いてほしいもんね……」

 と智美が言った。

 美緒が席に戻って来ると、

 「何ふたりで話してたの?」

 「内緒~」と智美が笑った。

 「もう……」と美緒が呟いた。


 それから、三人は色んな話をしながら、

楽しい時間を過ごした。


 「今日は、楽しかった。

 ふたりともありがとう。気遣ってくれて」

 美緒が微笑んだ。

 「そんなことないぞ……俺らも楽しかったしさ」

 聡が智美を見ながら言った。

 「そうだよ。そんなことない!」

 智美も言った。

 「うん……そうだね。じゃあ、来週の日曜日ね」

 と言うと美緒は歩いて行った。

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