11.戦闘開始
始めの合図と共に、貴族組の不良どもが一斉に攻撃してきた。
「さっさとくたばれや!第一位階魔法!ファイアーボール!!」
「同じく第一位階魔法!アイスジャベリン!!」
貴族の最低限の魔法である第一位階あたりの初級を放ってきた。
見た感じ人の頭ぐらいの大きさの火球や氷の刃が平民組に向かって飛んでいくのを俺は見逃さずに…
「第一位階、ターゲットヘイト…」
放たれた魔法を全部俺の方に行くように魔法で書き換えた。
本来は魔獣や魔物からのターゲットを指定した者に変えるだけの魔法であるが、俺としては好都合の魔法であった。
そして、飛んできた火球と氷の刃を両手でかざして…
「スキル、”吸収”。魔力を吸い取れ」
奴らの放った魔法の魔力を一つ残らず吸収して、そのままかき消していった…
が、かき消したのはいいんだが、問題は消したときの衝撃波が若干発生してしまうため、俺が立っている場所の左右から衝撃波の風が舞い上がってきた。
「ぐっ…!」
「きゃぁ…!?」
衝撃波を受けた後衛の生徒の何人かは耐えきれずに吹き飛ばされ、そのまま転んでしまったみたいだ。
だが、そんなのは予測済みであり、隣にいたアリッサとガイストに指示を出した。
「アリッサ、ガイスト。お前達は後衛に衝撃波が行かないように防御に徹しろ。特にガイストは大防御のスキルを使え」
「畏まりました」
「りょ、了解でげす…」
そう言って二人は第二波の魔法攻撃の衝撃波を、アリッサは防御態勢で受け止めていき、ガイストは”大防御”のスキルを使って受け止めていた。
(これで後衛への被害は軽微になったな…)
その状態を見計らって、後衛に攻撃指示を出した。
貴族連中の同じ第一位階魔法で攻撃を行ってはいたが…
「馬鹿め!こっちには聖者のスキルを持った奴がいるんだよ!」
「お前達平民の魔法なんか効かねぇんだよ!!」
不良達が言うように、向こうの気の弱そうな貴族の男子生徒が精一杯手を広げてから魔法障壁を展開していたのを確認できた。
やはり、腐っている奴は腐っているな…
と、俺は思いながら、先ほどから怪我した奴らヒールスライムで回復させているネリスに例の物を出すように無言で指示を出した。
そして、ネリスから例の物…爆発性のスライムもといマグマスライムを素手で掴んだ後、障壁を張っている貴族生徒めがけて投げつけた。
「なっ!?」
可燃性ガスを含んだマグマスライムが衝突と共に火花を出して引火し、爆発と共に魔法障壁ごと聖者のスキルを持った男子生徒を吹き飛ばした。
「てめぇ!!俺達の駒を潰したな!?」
「あの根暗女がケヴィンにスライムを渡したぞ!!あいつを狙え!!」
激高した奴らは真っ先にネリスを狙うように魔法攻撃してきたが、相変わらず俺のヘイト管理で攻撃先が固定されている事に苛立ちを覚え、ついに我慢できずに前衛が崩壊して境界線を越えて突撃してきた。
その状況を好機だと思った俺は左右に展開させていた前衛部隊に指示を出していき、挟み撃ちで前に出てきた貴族組の前衛達を各個撃破していった。
無論、高みの見物をしてる旗持ち連中に向けて、先ほどから吸収した魔力を指先に集まるように練り上げていき、解き放っていった。
「第三位階、ファイアランス…」
現学園で中位クラスの魔法である第三位階の魔法を、俺はあいつ等の魔力を吸収した分を全放出で使い、4発の大型槍の炎を具現化させて飛ばした。
奴らの火球の数倍大きい火の槍が飛んできたことにより、当初の想定以上の衝撃を受けたバリアはあっけなく破壊され、中で待機していた上流貴族の一部が衝撃波で地面に倒れていった。
「野郎…!俺達の魔力で!!」
「それよりも、本陣もやべぇぞ!!守りに入るぞ!!」
先ほどから前衛で攻撃していた連中も慌てて引き返そうとしたが、思った以上に平民側の前衛が粘って攻撃しているため戻れずにおり、しまいには撃破扱いで退場する奴が続出した。
なお、アルスも同じく前衛組で攻撃に参加しており、ヘレナに杖で尻を叩かれながら撃破していった。
と、そんな風に勝利を確信していたが…
先ほど破壊した旗の障壁先から膨大な魔力が練り上がっている事に気づいた。
「むっ、あれは…」
「ケヴィン様…」
「アリッサはガイストと共に再び防御陣形を取れ。来るぞ」
「仰せのままに…」
アリッサに指示を出した後、俺はすかさず”吸収”のスキルを発動させて防御姿勢を取ったと同時に、先ほどの貴族陣営の旗周辺を見渡してみた。
すると、本来の原作なら参加してないはずの人物の姿が確認でき、詠唱完了している様子も確認できた。
「エリザベート・ブリンケン…何故あんたが、こんな序盤の模擬実戦なんかに…!」
希代の生徒で大賢者のスキルを持った才女、エリザベートが空中魔法陣を展開させてる魔法を具現化させ、巨大な火炎球を完成させた。
「第五位階魔法、フレアストライク」
俺達の陣営全体を飲み込むような火炎球をこちらにめがけて投げつけ、辺り一帯を爆発で包み込んでいった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます