第41話 カナ視点
「里カナさん」
「QaQaさん、こっちは終わりましたよ」
「こちらもです」
残った残党を全て討伐しきり、いったん合流した私たちは一先ず情報の共有だけ済ませることにした。
と言っても分かり切っているのだが。
「全員の死亡を確認しました。これで完了ですね」
「ふぅーーーーー終わったあぁーーーーー」
やっとだ。やっとこれで終わった。唐突に始まった闘争のような戦争だったけど、この少人数で万の兵力に勝てた。
もうみんな満身創痍だ。
あとはナラナラが帰ってくるだけ。それで全てが終わるはず。だってのに……。
「まだナラナラは来ないのかよ」
「気長に待ちましょう?だってもうこれ以上何かする必要なんてないんだし」
『そうですね。今回ので樹海のエネミーも大きく数を減らしましたし、ある程度の期間間引きに行かなくてもよくなりましたし』
「間引き?」
『はい。あそこのエネミーらは彼らには手に負えないほど強いですから。それが街に行ったら甚大な被害が出ますし』
「……」
優しいレイヴンさんのことだからそうだろうなとは思っていた。ずっと彼らをエネミーの被害から守っていたんだ。
「レイヴンさんはこれからどうするんですか?」
『どうやら私がいなくとも彼らは彼らでエネミーを対処する術を身に着けたようですし、私はそろそろ眠ろうかと』
「眠る、ですか」
『はい』
眠る……それってつまり─────
「まあそれは先の話ですし、今はドロップアイテムの回収などをしましょう。もしかするとあの戦車もナラナラさんに頼んで使えるようにできるかもしれませんし」
「え、マジ!?早く行こうぜ!」
「ちょっ、飯!?待ってよ!?」
「筑和さんまで……何やってんだよ」
『元気ですね─────』
そんな呑気な話をしていた、その時だった。
遥か上空からとある一点目掛けて一筋の光が降り注ぎ、派手な爆発と共に何かが壊れた。
「「「「『っ!?』」」」」
「な、なんだ!?」
「……あの場所は、まさか」
「QaQaさん?」
「急いで二人を呼び戻してくださいっ!早く!」
「え?は、はい」
私は訳も分からぬまますぐに二人を呼び戻し、走るQaQaさんの後ろに何とか追いつく。この状況を把握しているのがQaQaさんだけ。私たちはまだ何が起きているのかさっぱりわかっていない。
だけど向かっている場所が少しづつ分かり始めると、何が起きたか嫌でもわかってしまった。
「QaQaさん……!」
「まずい状況になってしまいました。この可能性について考えはしなかったがどこかで考えるのを止めてました……ですがまさか起きるなんて」
《新規クエスト:バンバリア侵略》
「「「「っ!?」」」」
突然私たちの目の前にこのような文面が表示された。これはまさかレアクエスト……!?
いつ起きるかも不明で、どのような条件で出現するか未だに解明されていないレアクエストがなんでこんな時に……。
「この先にいる何かに関係してるのかしら」
「筑和さん、すぐにバズーカの準備を。合図とともにここから私たちのいる方へ弾が切れるまで撃ち続けてください。私たちが死んでも構いません」
「っ!?QaQaさん、それってどういう─────」
「問答している暇なんてありませんよ。皆さんも戦闘準備を。
─────PVPです」
鬼気迫ったQaQaさんの様子に私たちは脅されたかのように、各々の武器を出す。
「─────おうおう、やっぱいるじゃねえか」
「っ」
そして聞こえてきた声に、私たちの体がこわばる。この声は私たち……いや、ナラナラに一番関係するであろう男の声だった。
「─────エルミッシオリーダー、金剛」
「やっぱお前らは俺のこと知ってるよなあ」
奴の後ろにはクランメンバーだろうプレイヤーが、あの時以上にいた。総勢軽く60人を超えているはず。
エルミッシオは腐っても元トップクラン。きっとここでずっと私たちが足踏みしている間にもレベルを上げ続けていたに違いない。
それに噂で金剛はずっとナラナラのことを恨み続けているとどこかで聞いた。嫌な予感が拭えない。
「ああ、そういえばお前らの船は今さっきぶっ壊した。てめぇらの見たあの光で、だ」
「「「「っ……!」」」」
「これでお前も、ここにいないナラナラも、逃げることはできねぇ。大人しく俺たちに、殺されロ」
私たちが一番懸念していたことをあっさりと言われ、私たちの間で動揺が広がった。まずい。もう別の星に逃げるという手段がなくなってしまった。
この瞬間、私たちの間で一つの共通意識が芽生えただろう。
……果たして、私たちは止められるだろうか。
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