20 魔法適性

■20 魔法まほう適性てきせい


 おかりてまち中心ちゅうしんもどってきた。


 ここにはスエル教会きょうかいがある。

 スエル教会きょうかいはもちろん、スエルメティスさま信仰しんこうしているスエルきょう教会きょうかいだ。

 それでこの教会きょうかいにも孤児院こじいん付属ふぞくしているんだけど、こちらは修道院しゅうどういんではないので、男女だんじょ両方りょうほうれている。

 ただおかうえのクエシニコ女子じょし修道院しゅうどういん女子じょしれているので、こちらは男子だんしおおい。

 まあとにかく、スエル教会きょうかいにはお布施ふせをするひとおおおとずれて、こちらははたけとかなくてもやっていけそうだ。

 めちゃくちゃ裕福ゆうふくというほどではないが、クエシニコ女子じょし修道院しゅうどういんよりは贅沢ぜいたくらしをしていそうだ。ちょっとうらやましい。


 そんな派手はですぎないものの、しろ綺麗きれいいしでできた建物たてものは、おたかそうだ。


 スエル教会きょうかいはいっておいのりをする。


かみスエルメティスさまのご加護かご感謝かんしゃして」

「「――セドーレ」」


 みんなでいつものように祝詞しゅくしささげる。


 教会きょうかい礼拝堂れいはいどう修道院しゅうどういんよりもおおきく、おくにある祭壇さいだん女神像めがみぞう立派りっぱだった。


「さて、属性ぞくせいてもらいましょう」

「うん、たのしみ!」

「……属性ぞくせい

属性ぞくせいにゃ、属性ぞくせいにゃぁ」


 教会きょうかい付属ふぞく部屋へや移動いどうすると、そこには祝福しゅくふくのアクセサリーとかをっているお土産みやげコーナーがある。

 さらにそのとなり部屋へやがいわゆる属性ぞくせい判定はんてい部屋べやだ。


「「失礼しつれいします」」


 そのまどちいさく、なんとなくくら部屋へやおくに、属性ぞくせいがついた水晶すいしょうたまだいせられていた。

 あれが属性ぞくせい判定はんていだ。


「いらっしゃいませ」

「あ、どうもどうも。おねがいします」

「どの属性ぞくせい判定はんていをするのかな?」


 かかりのおねえさんはやさしげな微笑びしょうかべて質問しつもんしてくる。


「えっと、サエナちゃん、シリスちゃん、ミリアちゃんを」

金貨きんかで3まいとなりますが、よろしいですか? 前払まえばらいですけど」

「はいっ」


 資金しきん金貨きんか4まい銀貨ぎんか11まいだ。

 金貨きんかを3つ、ふくろからすようにせて、アイテムボックスからしてわたす。


 おねえさんはちょっとおおきくけておどろいたけれど、なんでもないというふうなおしていた。

 金貨きんかをぽんとしたので、びっくりしたのだろう。

 わたしたちはどうても見習みなら冒険者ぼうけんしゃだし、貧乏びんぼうそうだから銀貨ぎんか30まいしてくるとおもったにちがいない。


「お、おっほん、はいたしかにいただきました」

「にゃは」

「では順番じゅんばんにこの装置そうちをつけて、魔力まりょくながしてください」

「あの、魔力まりょくながかたからないんですけど」


 サエナちゃんのいうことももっともなのだけど。


大丈夫だいじょうぶですよ。けるとられるので」

「あ、はい」


 ということで先行せんこう、サエナちゃん。


 こぶしだい水晶すいしょうけると、水晶すいしょうがほのしろ発光はっこうした。

 まわりにある属性ぞくせいせきのうちあおみずいしひかっていた。


「はい、おめでとうございます。みず属性ぞくせい適性てきせいがあるようです。魔力まりょくりょう人並ひとなみくらいですね」

「はわわ、ありがとうございます」


 やったと両手りょうて万歳ばんざいさせる。ちょっとかわいい。


つぎはシリスちゃん」

「……はい」


 たんたんと返事へんじをして、シリスちゃんが判定はんてい水晶すいしょうをつける。


「んっ」


 ちょっと魔力まりょくられたかんじがしたらしく、ちいさくこえした。

 さて結果けっかみどり黄色きいろだ。かぜつち魔法まほう適性てきせいがあるようだった。

 なか水晶すいしょうしろひかっていた。サエナちゃんよりあかるいので、魔力まりょくりょうおおいのだとおもう。


「……やりました」


 そして最後さいご、ミリアちゃん。


「にゃっ」


 水晶すいしょうすこしだけしろひかっているものの、こころもとない。

 しかしあか属性ぞくせいいしは、それよりもつよひかって反応はんのうしている。


「これは、属性ぞくせいたか適性てきせいがあるようですね。ただ魔力まりょくりょうすくないので、残念ざんねんですが」

「はいにゃ」


 何発なんぱつつことはできないのだろうが、たか適性てきせいがあるとその属性ぞくせい魔力まりょく変換へんかんりつたかくなるので、つよ魔法まほうつことができる。

 いざというとき必殺ひっさつほのお魔法まほう使つかえるかもしれない。

 もしくはたか変換へんかんりつで、ほのお魔法まほうけんとか。


「みんな、ちょっとは適性てきせいがあってよかったね」

「うん」

「……やった」

「にゃああ」


 とにかく全員ぜんいん一応いちおう属性ぞくせいはあった。

 ひとつもほとんど反応はんのうしないひと一定いっていすうはいる。

 おおくのひと属性ぞくせいは1つだし、たりではないだろうか。


 わたしトエ    魔力まりょく量大りょうだい ぜん属性ぞくせい

 サエナちゃん 魔力まりょくりょうしょう みず

 シリスちゃん 魔力まりょくりょうちゅう かぜ つち

 ミリアちゃん 魔力まりょくりょう 強火きょうひ

 エミリーさん 魔力まりょくりょうしょう 


 こんなかんじかな。

 ミリアちゃんは獣人じゅうじんなので、魔法まほう適性てきせい一般的いっぱんてきにはひくい。使つかえるだけでももうけものらしい。

 ここにはいないけどエルフは魔法まほうとくかぜ魔法まほう得意とくいだ。


「では基本きほん魔法まほう練習れんしゅうをしましょう」


 かかりのおねえさんに提案ていあんされる。

 金貨きんか1まい属性ぞくせい判定はんていだけでは、ちょっとたかいよなぁとみんなおもうはずだ。

 そこでここではおまけとして初級しょきゅう魔法まほう練習れんしゅうをさせてくれる。

 もちろんできるようにならないひともいるけれど。


「「はーい」」


 さらにとなりつづとびらがあり、くぐると中庭なかにわた。


みず魔法まほう基本きほん魔法まほうは『ウォーター』ですね。お手本てほんをおせします」

「はい」

みずよ――『ウォーター』」


 みずかたまりこうがわにあるまとかってんでいってべちゃっとたった。

 攻撃こうげきというにはよわいが、たしかにそれはみず魔法まほうだった。


「どうでしょうか。つぎはお客様きゃくさまです」

「は、はいっ」


 サエナちゃんが真剣しんけんかおになってかまえをとる。


みずんでいくところをつよくイメージして、それから指先ゆびさきから魔力まりょく放出ほうしゅつするかんじで、さあどうぞ」


みずよ――『ウォーター』」


 水鉄砲みずでっぽうみたいなみずがぴゅーっとんでいった。

 威力いりょく最低さいていだ。

 きとかつよさとかイメージがよわかったのだろう。

 しかしだい一歩いっぽとしては素晴すばらしいではないか。この最初さいしょができないひとおおいんだそうだ。


「やったやった」

「……みず

「サエナ、みず魔法まほうにゃあ」


つぎはそちらのほうですね。えっとかぜつちでしたか」

「はい」

「では、かぜよ――『ウィンド』」


 かぜがぶわぁとわたしたちのまわりにく。


つづいて、よ――『アース』」


 つち地面じめんが、ぼこっとがった。


 シリスちゃんは魔力まりょくおおいし、魔法まほう適性てきせいたかいようで、なんなくこなした。

 こうしてシリスちゃんも無事ぶじ初級しょきゅう魔法まほう使つかえるようになった。


にゃ――『ファイア』」


 手本てほんせてもらいミリアちゃんもやってみるが、ものすごいちいさいマッチぐらいの一瞬いっしゅんだけついた。


「ふぁにゃああ」


 まあ、かなりびっくりしていたけど、できたことはできたので、よしとしましょう。


 ふむみんなよろこんでいて、いいかんじだ。

 かるったりしている。ぐへへ。

 おんな同士どうしのスキンシップとか眼福がんぷく眼福がんぷく。にへらぁ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る