会話劇劇場その1『4人鍋』

「おい、コンロは大丈夫か?」

「あー。ボンベ2年前のものだけど大丈夫だろ」

「馬鹿!!そういうとこだぞ、お前!!そんなんだから彼女出来ねえんだよ。本当に無神経な奴だな」

「あーん?それとこれとは関係ないだろ?」


「おー、食材買って来たぞー」

「お!!待ってました!!やっぱこの時期は鍋だよなー」

「…今は夏だけどな」

「仕方ないだろ、罰ゲームなんだから」

「じゃーん!!こたつとストーブも用意したぜ!!」

「お前の行動力は、本当に後ろ向きにしか役に立たねぇ!!」


「…はぁ~。先日の草野球さえ負けさえしなければ…」

「なあ、適当に誤魔化さねぇか?これは死ぬぜ?」

「YouTubeなんか、やらなきゃ良かったなぁ」

「配信しなければ偽証系Tuberになっちまうからなぁ」


「カメラ大丈夫か?湯気で映らないなんてことになったら」

「俺を信じろ!!電化製品は年末の番組にも負けない自信がある」

「そのお前が、打ち上げた球をエラーで取れなかったから…」

「許されるなら今、本当にお前を締め上げたい」


「…で?具材は何買って来たんだ?何肉だ?何肉だ?」

「そうだな、せめて鍋だけは美味く食べたい」

「神戸ビーフ」

『はあ!?』

「どこで予算使ってんだ!!そんな肉、良い時に食べてえよ!!」

「…の横に並んでいた、豚バラ肉。キロ800円1kg分」

「落差落差落差」


「お野菜は?」

「お野菜?野菜に『お』をつける派か?」

「お前の教育は今からでもし直した方が良いかもな…」

「コールスローに、炒め用野菜だろ。あとカリフラワー」

「野菜だけ闇鍋感が強いじゃねぇか!!」

「焼きそばも買って来た。そっちに使う」


「…あのな。普通の鍋なら、麺は締め用にうどんとかラーメンを買うもんなんだよ。…お前、アイツらの回し者か?」

「出汁は?」

「ああ、ウチに羅臼産の昆布と、本枯節がある」

「普通にめちゃ良い具材じゃねぇか!!」


「さ、出汁も取れたし、具材を入れるのか」

「………………………」

「………………………」

「………………………」

「………………………」


「…やっぱり鍋奉行って要るもんだな」

「俺らがいかに料理しないか露呈したな」

「…あ、カメラ入れてねぇ」

『は!?』

「嘘~」

「殺意殺意殺意」


「…この熱は自分から出てんだよな?ストーブ、こたつだけじゃねえよな?全く、何が悲しゅうて男四人で夏に鍋を…」

「あ、俺、彼女呼ぼうか?」

「馬鹿言えよ。別れたいのか?嫌われるぞ?」

「彼女、セクシー女優だけど」


『呼べよ!!』


「…いやいやいや、どうせまた嘘なんだろ?」


「…ん?」

「…え?」


「…ええ、マジ!?マジなの!?呼べよ、馬鹿!!今すぐ呼べよ!!」

「嘘~」

「えー、これは満場一致ということでよろしいか?」

「異議無し」

「異議無し」


「……………………えい」

「痛い痛い痛い痛い、取れる取れる取れる取れる、切れる切れる切れる!!悪かった悪かった悪かった!!」


「さーて、食材に感謝し鍋を食うか」

『おー。煮えてる、煮えてる』

「よし、取り分けてやるよ」

「お、サンキュ」

「さあ、お野菜も食べるんだぞ」

『お母さんかよ』


 …15分後、熱中症で2人脱落。ニュースでも取り上げられた。翌日のワイドショーで、コメンテーターたちに酷評されたが、再生数は全く伸びなかったという。


【地獄】真夏に男四人で罰ゲーム鍋を食べてみたPART 1


 再生回数249人


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