「プロジェクトEND」後手後手に回る開発者

 西暦3000年。地球は様変わり…していなかった。相変わらず車は地上を走り、ファックスもバリバリ現役。レアメタルの枯渇により、スマホも消滅の危機。物価の高騰も止まらない。

 

 そこで某DT社は風力動力による新たな車を開発した。それは超風力動力。それはガソリンに匹敵するほどの動力を有する一大プロジェクト。しかも電力もそれほど使用しない。


 そして何より、非常に自然に優しい動力として世界から注目を浴びた。しかし、盲点だったのはあまりにも強力過ぎて、後続の車が吹き飛ばされてしまうほどのエネルギーを生み出した。


 この実験で後続の車のドライバーが事故を起こし怪我をしてしまった。某DT社とドライバーはもめにもめ、裁判沙汰になってしまう。これは俗に扇風機裁判と呼ばれ後世に伝わった。


 しかし、某DT社は諦めない。どうせだったら、極限まで風力を高める研究を始める。盲進していく会社についていけず、大多数の社員は離れていったが、技術部だけはムキになっている。


 その研究の結果、その過程で生み出された上昇気流は、竜巻の解明に役立ちアメリカや諸国で重宝された。改めて注目を浴びる某DT社。良い面でも悪い面でも注目を浴びる会社である。


 その洗練された扇風機の羽の形状は、風力発電をさらに向上させた。その後も開発を重ねる某DT社。しかし、気づけば初期の開発から140年が経ち、世界の自然現象は様変わりしていた。


 火山の噴火から超地熱発電が発達し、雷すらも電力に応用できるようになっていた。そのため風力発電は影を潜めた。乱高下する某DT社の株価。世界一注目された企業としてギネスに載る。


 しかし、さらに30年後、異常なまでの台風群が世界を襲っていた。某DT社の技術を総決算し、全精力を投入。その超風力は台風に匹敵。台風群を中和し、世界を危機から救った。


 ついに某DT社は面目躍如。世界を見返した某DT社は、ついに世界をひっくり返すかに思われた。しかし、世界中の人々は、誰も賞賛せず、ついに某DT社は歴史から姿を消した。


 それもそのはず。人類は既に地球外で活動しており、今の地球の人口はたったの約20人。地球は人間の住める環境ではない。世界の大多数の企業が宇宙産業に力を入れていた。


 地球人は1万4000基のコロニーに移住し、快適な生活を送っている。台風も竜巻も噴火も地震も起きない。結局、あまり期待されていなかった、太陽光発電が一番発達したのだった。

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