第4話「妖精めそめそのバレンタイン」妖精

 💧登場人物紹介💛


 💛めそめそ

 めんたる妖精、涙を守る妖精族の女の子。


 めそめそイメージAIイラスト

 https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16818023214121190857


 💚ねむねむ

 めんたる妖精、眠りの妖精族の男の子。


 ねむねむイメージAIイラスト

 https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16818023214114494347

 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。



 ここは、めんたる世界のめんたる妖精村。

 2月14日。今、人の世界では“バレンタインデー”で好きなひとにチョコレートを渡す日らしい。

 


 めんたる妖精達の世界も、人の世界と同じバレンタインデー。

 種類は、女の子が好きな男の子に渡す本命チョコ。仲良しの子に渡す友チョコ。

 そして、義理チョコもある。



 ママと朝から、手作りチョコを作って渡しに行こうと、急いでいる涙を守る妖精めそめそは誰に渡すのかな?お気に入りの水色ワンピースを着て、水色の三つ編みの髪を揺らして、着いた先はいつも寝てばかりの眠りの妖精の男の子、ねむねむのお家だった。



「ねむねむくん、起きてるといいめそけど……」



 めそめそは、小さな胸をどきどきさせながらドアを叩いた。

 すると、中からねむねむのママが出てきてこう言った。



「あら、めそめそちゃん。ねむねむ、起きていたんだけど。公園に行ってしまったの。今からなら、間に合うと思うわ。めそめそちゃん、ねむねむをお願いね」



「はい、めそ」



 めそめそは、近所の小さな公園に来てみた。

 めそめそもねむねむも、いつも遊びに来ている公園。


「ここなら、きっと。チョコが渡せるめそ」

 今日のめそめそは泣かないで頑張っているがんばれ、めそめそ!



 他の妖精の子供達が遊んでいる中で、オーバーオール姿のねむねむは、ベンチに仰向けで寝ていた。



「ああっ、ねむねむくん。寝てるめそ~」




 これは、渡せないかもしれない。そう思うと、めそめその涙腺が緩んできて涙が出そうになりました。

 でも、今日はねむねむにバレンタインチョコを渡そうと、朝から頑張ってママと作ったのです。




 可愛いラッピングでチョコを包み、ねむねむの髪と瞳の色に似ているグリーンのリボンで、ハートのチョコを結んでいました。

 めそめそはまだ、小さいし不器用なので、綺麗に結べなかったけど。気持ちだけはたくさんこもっています。




 めそめそは、ねむねむに近づいて横にちょこんと座りました。

「ねむねむくん、起きてめそ……」

 


 めそめそは、起こしたら可哀想かわいそうなのと恥ずかしさで蚊の鳴くような声で、声を掛けます。



 しかし、案の定、そんな小さな声ではねむねむは起きません。

「むにゃむにゃ、オムライス~おいしいねむ」

 


 口をもぐもぐ動かしてどうやら、ねむねむは大好きなオムライスを食べている夢を見ているようです。



「ねむねむくん……」



 めそめそは、ねむねむの顔をじーっと見つめました。

 まつ毛が長くて、色白の可愛い顔をしています。めそめそは思わず、ぽっと頬を染め、ちょんと人差し指で頬をつついてみます。



 ねむねむはそれに反応して、むにゅむにゅと口を動かし、顔を横に向けます。

「ふふっ」めそめそは思わず微笑みます。

 とその時、「カアカア!」



 真っ黒いハシブトガラスが飛んで来て、めそめそのチョコレートを盗ろうとグリーンのリボンをくちばしで引っ張りました。



「ヤダッ!からすさん、だめめそー!それは、ねむねむくんの!」

 


 めそめそはべそを掻きながら、盗られては敵わないとチョコを引っ張ります。



「やだめそ~、盗らないで~!」

 


 とうとう、めそめそは泣き出してしまいました。

 しかし、チョコはちゃんと持っていて、離していません。



「コラ―!めそめそちゃん、泣かすなねむー!」

 


 なんと、眠っていたねむねむが、いつの間にか起きていてカラスを追い払いました。

 カラスが慌てて、空に逃げて行きます。



「……めそめそちゃん、だいじょぶねむ?」

 


 ねむねむはいつも、眠たくて寝てばかりいるのに。

 自分もカラスが怖いのに、眠気でふらふらになりながらも、めそめそを助けてくれたのでした。



「めそめそちゃん、それ……チョコねむ?」

 


 カラスのせいで、包装紙が破れて中身が見えているチョコをねむねむは、指さしました。



「これ、ねむねむくんにあげようと思ってためそ……でも、こんなになっちゃった。ごめんなさいめそっ」



 めそめその瞳から、ぽろぽろと涙がこぼれます。



「ありがとねむ、あとで食べる。めそめそちゃ…」

 


 ねむねむは、にこーっと笑うとチョコを持ったまま、ベンチにこてんと倒れて、そのまま眠り始めてしまいました。



「ありがと……ねむねむくん。だいすきめそ~」

 


 めそめそは、泣きながらねむねむのほっぺにちゅっと、キスをして安心しためそめそはねむねむとベンチで眠ってしまいました。

 しばらくして、めそめそとねむねむのママが迎えに来て、おんぶをされて家に帰って行きました。



 ~おわり~

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