第5話「めんたる村の妖精いらいらと春の精」妖精
🌸登場人物🌸
🔥いらいら
怒りの妖精の男の子。六歳。赤い髪と赤い瞳を持つ。
怒りの妖精いらいらイメージAIイラスト
https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16818093075088095825
🌸春の精霊
春の精の女の子、見た目は13歳位。白い髪と青い瞳を持つ。
春の精霊イメージAIイラスト
https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16818093075092873815
🌸🌸🌸🌸🌸🌸🌸🌸🌸🌸🌸🌸🌸🌸🌸🌸🌸🌸
ここは、めんたる世界に存在するめんたる妖精村。
今年も人の世界と同じく、春がやって来た。
草木が萌え、色とりどりの花が咲き、白やピンク色の様々な種類の桜も咲き始める。
みんなが、穏やかな表情で各々の春を満喫する中。
一人の男の子妖精が、むすっとした顔でズンズンと公園の中を進んでいた。
この子は六歳の怒りの妖精いらいら、赤い髪と赤い瞳を持つ、子供妖精達のガキ大将だ。
背中には、赤い羽が生えていて、赤い服と青い半ズボンを履いている。
「花か……もう、春だってのに。一向に減りゃしねえいら!あ~、イライラする」
いらいらは眉を吊り上げ、口を真一文字に曲げて公園のベンチにドカッと座った。
“一向に減らない”それは、いらいらが一番嫌いな、いじめっ子だった。
妖精村の住人は皆、穏やかで優しい。けれど、最近、引っ越して来たよその土地の妖精達が優しい現住人達の子供をいじめ始めたのだ。
それは、大人でも、解決の出来ない問題で大人のいじめもある。
まだ、小さないらいらには、どうにも出来ないように思える。
しかし、いらいらはまず、子供達のいじめを何とかしようと目に付いたものは、口をはさみ、話し合いで解決しようと頑張るが、しかし、当たり前のようにいらいらは、理不尽な喧嘩に巻き込まれる。
同じ年齢の妖精達より、体も大きく、力の強いいらいらだが。
そんな理由で、生傷がたえない。
いらいらの両親は、そんないらいらを心配してやめるように言う。
しかし、正義感の強いいらいらは、やめようとはせず。今度は、話の分かる大人妖精にも相談し始めた。
そんな最中にいらいらが、森の中を歩いていると綺麗な白い桜の下に木に寄りかかって泣いている、白い髪のお団子ヘアで青い瞳の桜の花の飾りが付いた衣装を着た一人の少女が目に入った。
年齢は、十三歳位だろうか。とても、可愛く可憐さをも持つ。
いらいらは、気がつくとその少女に思わず声を掛けていた。
「どうしたいら?なんで泣いてるんだよ」
すると、少女はびっくりしたような表情でいらいらを見た。
「あなた誰?」
「おれは、怒りの妖精いらいらだ!おまえは」
「あたしは、春の精チェリーブロッサム」
「なんで、泣いてんだ?」
「最近、私の枝を折るひとがいるから……」
「酷いやつがいるいら!よし、おれが」
すると、チェリーブロッサムは首を横に振った。
「ううん、いいの。一本か二本くらいなら、あたしが我慢すれぱ」
「でも、痛いんだいら?泣いてるじゃねえか」
「でも、でも。あたしは争いが嫌いなの!怖いのよ」
いらいらは、スッと右手を上げ、それを見たチェリーブロッサムは過去の体験から、またぶたれるのではと、身を固くして目をつぶった。
いらいらは、ふっと微笑みチェリーブロッサムの頭を撫で始めた。
「――ぶたないの?」
「なんで、ぶつ必要があるんだいら?」
「私が駄目な精霊だから」
いらいらは、黙ってチェリーブロッサムを抱きしめて頭を撫でた。
ぼろぼろと涙を流す彼女。チェリーブロッサムは、子供のように六歳のいらいらにすがって泣いた。
「いらいらくん、ありがとう。落ち着いたわ。でも、あまり無理しないでね」
「――お、おう……わかった」
彼女は、いらいらの膝小僧と頬の傷に絆創膏を貼ると、いらいらのおでこにちゅっと口づけをする。
いらいらは、顔を真っ赤に染めて、耳まで赤くし、ふいっと視線をそらした。
いらいらとチェリーブロッサムは、森を管理する大人妖精に話して、チェリーブロッサムの桜や動植物を守ってもらうことを頼んだ。
チェリーブロッサムは、眠りにつく前に、これから自分を含めた四季の精の兄弟がいらいらの味方になるわと、いらいらに約束してくれた。
いらいらとチェリーブロッサムは、春の間に毎日、楽しく過ごし春が過ぎると彼女を想い、来年の春を待ち遠しく待つ、いらいらの姿があった。
-おわり-
🌸🌸🌸🌸🌸🌸🌸🌸🌸🌸🌸🌸🌸🌸🌸🌸🌸🌸
お読みくださり、ありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます