page6:二人の距離

6-1

 月曜日。午前の授業が終わり昼休みになり、そらも友達とお弁当を食べる。数少ない貴重な天の友人2人は、どちらもよく天の性格を理解している。

 1人は中学からの友人でリーダーシップがある、ちゃきちゃきタイプのリッカ。もう1人は高校からの友人で大人っぽく落ち着いているクールタイプのエマ。タイプでいえば、自分はマイペース呑気ヲタクタイプなのだろうなと天は思った。


「それで、天!あんた最近どうしたのよ!」


 リッカが少し興奮気味に問い詰めてくる。隣のエマと共に天は目を合わせて首を傾げた。


「リッカはいったい何を興奮してるの?推しでもできた?」


「違うわ!そうじゃなくて、あんた最近の小説どうしたのよ、めっちゃリアルキュンさせてくるじゃないの!」


「まぁじで!?」


 天は自分が小説をネットに投稿していることは隠している。しかしこの友人2人は別だ。後知っているのは文芸部の仲間くらいだろう。とにかく、そんな天の小説を読んだリッカからの感想に天は舞い上がる。


「キュンきた?どこらへんで?」


「部活の時の色気ある笑みとか、急な方言でちゃうとことか!」


「あ、方言のとこよかったよね。私もドキッときた」


「エマちゃんも!まーじーか!うれしいいい!」


 天はガッツポーズをして、机に伏したまま足をばたつかせる。


「どうしたの?何か心境の変化でもあった?」


 エマに聞かれて天は言葉に詰まる。実在している葵とのことを小説にしているなんて、そんなこと言えるはずもない。そもそも友人2人にはまだ葵の名前は伝えていなかったのだ。だから素直に言えなかったが、リッカにはバレているようでニヤニヤした顔を向けられる。


「何がって……何だろなぁ」


「これはとうとうリアル恋したわね」


「そんなのしてない……はず」


「言い切れないのが怪しい」

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