page4:彼のギャップにズキュン
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土曜日。春らしい気候の暖かい日。
あの雨の日から3日経っての本日。一度も剣道部の練習を見に行かなかった天。何故なら、葵とどんな顔をして会えばいいかわからなかったからである。変に大会を見に行くかもなんて約束をしてしまった手前、その話題がでないように避けるために、とった行動だった。
ネタのためにもっと話をして彼を観察しなければならないはずなのに、なんて失態だと天は思ったがこればかりは致し方ない。それよりも、だ。天は困っていた。非常に。
約束?通り今日は葵の大会を見に行く。場所も特定した。時間も把握している。全てOK、そのはずだった。
「服、何着てけばっっ!」
そう、服装まで頭が回っていなかった。いつもは制服で十分だったから、今まで気にしたことなかった。しかし今日は私服だ。
「休みの日に制服って訳にもいかないし……いや、でも大会なら制服?一般の見学なのに?そうだよ、何着れば」
葵のかっこいいところを見るからには、自分もそれ相応の格好をするべきなのでは?と天は思う。そんなことしなくていいのに、変なところに気を回すのが陰キャの悪いところ。
悩みに悩み、だがどの服を選んでも似合わなそうだと思ったところで天の思考が停止した。
「もうなんでもいいか!」
今更あれこれ考えていても仕方ないと、天は適当に着替えを済ませて会場に向かうことにしたのであった。
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